「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

宝の持ち腐れ

2015年02月07日 | オーディオ談義

真空管アンプの愛好家として40年を越えるが、その間いろんなタイプの真空管に接してきた。

ミニチュアタイプの電圧増幅管から、交流を直流に変える整流管、そして出力管など様々だが、その中で、まあいろんな考え方があるんだろうが、何といっても王様に位置するのは出力管で、その他の真空管はその引き立て役といってよかろう。

丁度、オーディオはスピーカーが王様でその他の機器は引き立て役という構図と良く似ている。

真空管アンプの音質を最終的に左右する役割を担っているのは出力管というわけだが(出力トランスも大事だがそれはこの際措いておこう)、ときどきベテランの真空管マニアに「一番音のいい出力管は何ですか?」と訊ねることがあるが、答えは個人的な好みもあっていろいろ分かれる。

例えば「DA100」であったり、「刻印付きWE300B」だったりするが、その中で必ず候補の一つとして上がるのが「PP5/400」(英国マツダ)である。あるオーディオ仲間の「お師匠さん」筋に当たり、これまで真空管アンプを軽く1000台以上は作ってきたという強者(つわもの)が「一番音のいい出力管はPP5/400です」と断言されるほどだからこれは間違いなし(笑)。


欧州の名三極管として知られる「PX25」系統の球として、ピン配列が同じなので差し換えが利くことでも有名だが、我が家にもPX25アンプが1台ある。「いつかは、この出力管を我が胸に」と夢を抱いても叱られはしないだろう(笑)。

        

そしてこの待望の「PP5/400」がオークションに出品されているのを偶然見つけたのである!

実を言うとこれは昨年末(2014年)の12月31日のことだった。「何だ、1か月も経ってブログに登載するのか!」という声が上がりそうだが、なにせ「北国のおじさん」からJBL375用のホルンをいただいたりと、書きたい記事が年頭から山のように押し寄せてきたものだからとうとう出番が今ごろになってしまった(笑)。


            

オークションの解説文には「ソケットもお付けします。現用機にて動作確認済です。」という素っ気ないコメントがあるのみ。即決価格は25万円!

ウ~ン、どうしよっか。高額真空管ともなるとちゃんとした測定器による数字的なデータがぜひ欲しいところである。購入したはいいものの使い始めて1か月ほどで寿命が来ましたではお金をドブに捨てるようなものだから泣くに泣けない。

顔の見えない相手をむやみに信用するわけにもいかないが、念のため出品者のオークション評価の履歴を見てみると「非常に良い」が479件、「悪い」が0という結果なのでまあ安心のできる方なのだろう。

とにかく落札時刻がもう目前に迫っている。こういうときは頼りになるオーディオ仲間に相談するに限る。現在、この球を使っておられるのは同じ「AXIOM80」仲間のSさん(福岡)である。現在、東京に単身赴任中だが、お正月休暇で帰省されているに違いないとにらんだ。以前このブログで紹介したことがあるが、Sさんは世界中で2台しかないイギリス製の凄いアンプの持ち主である。

         

メールでは間に合わないのでいきなり携帯にかけてみた。

「PP5/400がオークションに出品されてますがどうしようか迷ってます。現在〇〇万円です。落札時刻が後1時間ほどに迫ってますのでちょっと見ていただけませんか。」

すぐにご返事があって「PP5/400は前期と後期がありますがこれは音がいいとされる前期のものですね。オークションで見かけるのは珍しいです。しかも程度が良さそうですよ。私も4ペア確保してますが前期分は1ペアしか持ってません。〇〇万円くらいなら私が欲しいくらいです。」

この言葉が強力に背中を後押ししたのは間違いなし(笑)。

それにしても終了日時が(12月31日の)「13時」の真昼間というのが面白い。全国津々浦々の大勢の真空管マニアが目を皿のようにして競り合う夜間帯ではないところに、出品者の“おおらかさ”が垣間見えるようだ(笑)。

と、ここまで書いてふと思った。そうか、大晦日の夜ともなると紅白歌合戦とか一家団欒の時間でオークションなんて野暮なことをする人間は少ないかもねえ。そこまで見込んだとすれば出品者はなかなかの深慮遠謀家だ!

とにかく結果は競り合った末に(入札件数85件)、〇〇万円という
Sさんが大いに乗り気になられた破格の値段で自分が落札した。何せ早寝早起きなので夜間のオークションはすべて白川夜船だが、昼間のオークションともなると無類の勝負師に変身~。

休暇中は金融機関がお休みなので、5日(月)に代金を振り込んで現物が到着したのは8日のことだった。

半日ほど慎重にエージングして(といっても自己流で随分“ずさん”だが・・・)、祈るような気持ちで音出ししたが無事立派な音が出てくれてほっと一息。高額真空管は心臓に悪い(笑)。

しかも「勿体ない」気持ちの一点張りで、それ以降この真空管の出番はまったく無し~。

こうなりゃあ、まったく「宝の持ち腐れだ!」(笑)。


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