「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

「必要悪」の代表選手

2014年03月04日 | オーディオ談義

「必要悪」という言葉がある。「広辞苑」によると「悪ではあるが、社会の現状からいって、やむを得ず必要とされるような事柄」とある。けっして明るい前向きなイメージをもたらす言葉ではなく、どちらかと言えば「後ろめたい存在」であることが分かる。

実は「オーディオ」にも「必要悪」がいろいろありまして(笑)。

極端な話、生演奏と比べるとオーディオ機器はすべて必要悪みたいなものだが、それではまったく話にならないのでシンプル・イズ・ベストの観点からいくと、さしずめ「スピーカー・ネットワーク」(以下、「ネットワーク」)あたりはその必要悪の代表選手ではなかろうか。

「ネットワークって何?」と訊かれても一言で説明するのは難しいが、簡単に言うと周波数帯域(人間の可聴帯域は20~2万ヘルツ)を低音域、中音域、高音域などの所定の帯域に分割し、その音声信号を各SPユニットに送り届ける役目を持った道具とでもいおうか。

興味のある方はググってもらうことにして、とにかくこれを“付ける”と確実に音が悪くなるのはたしかで、それ以外にもそういう機能を果すチャンネル・デバイダーという代物もあるがこれも所詮は音を悪くする部品の塊りなので使わないに越したことはない。

フルレンジ型のスピーカーをひたすら愛する人たちがいるが、それを使う理由の一つとして「音を悪くするネットワークを使わないで済むから」という答えが必ず返ってくる。実は自分もその一人(笑)。

ちなみに、タンノイの同軸型ユニットだって2ウェイなので当然の如くネットワークが使ってある。手元のウェストミンスターの仕様は「クロスオーバー1000ヘルツ、12db/oct」となっており、以前、裏蓋をこじ開けてじっくり観察したことがあるが、見るからに音を悪くしそうな細い銅線を沢山巻いたコイルが使ってあった。もちろん、いい悪いは別の話でメーカー側の「音づくり」の一環なのでこればかりは部外者があれこれ口を挟む余地はない。

フルレンジ型スピーカーの再生帯域に物足りない人が、2ウェイ、3ウェイ型のSPシステムに移行していくわけだが、そのメリットは十分あるもののネットワークを使うマイナス部分をどれだけ意識しているのだろうかと、ときどき思うことがある。

オーディオは常にプラス部分とマイナス部分の差し引きで考えるクセをつけた方がいいように思えて仕方がない。なぜなら無駄遣いの歯止めになるから(笑)。

とはいえ、ネットワークはオーディオを楽しむうえで絶対に避けては通れない課題なので、いかに音質への悪影響を最小限に留めるか、使う部品の銘柄などを含めて多大のノウハウがあって実に奥が深い世界。

研究に研究を重ねた方たちも沢山おられるし、正直言ってとても自分ごときが偉そうに語る資格はない。

以上、前置きが随分長くなったが、ようやくここから前回のブログの続きに入ります~。

以下、ちょっと専門的な話になるが悪しからず。

オーディオ仲間のAさんのアドバイスもあって、丁度よい機会とばかり見直す気になった我が家のJBL3ウェイ・マルチ・システムのネットワークの現状は次のとおり。

低音域(~1000ヘルツ:12db/oct)

ユニットはJBL「D130」(38センチ口径8Ω)を使用 ハイカット用としてコイル2.6mh、コンデンサー20μF
使用アンプは真空管PX25・2号機シングル

中音域(1000~7000ヘルツ:6db/oct)

ユニットはJBL「375」(16Ω) ローカット用としてコンデンサー10μF、ハイカット用としてコイル0.18mhを使用
使用アンプは真空管2A3シングル・2号機

高音域(7000ヘルツ~:6db/oct)

ユニットはJBL「075」(8Ω) ローカット用としてコンデンサー2.2μFを使用
使用アンプは真空管71Aシングル

このネットワークでは375の能力を十分発揮できそうにないことは、既にお察しの方もあると思う。それにはいろいろ理由があるが長くなるので省略する。今回も「ああでもない、こうでもない」といろいろ定数を変えながら4~5日間実験を繰り返した挙句、つまるところ落ち着いたのが次の結果。

低音域(~500ヘルツ:12db/oct)、中音域(500~7000ヘルツ:6db/oct)、高音域は従前どおり

375の500ヘルツ付近の再生能力に期待したわけだが、ひとまず、この定数に見合った容量のコイルとコンデンサーが必要になる。こういう時に役に立つのが「クロスオーバーネットワーク早見表」である。自分にとってはまるでバイブルのような存在で片時も肌身離さずに使って重宝している。

                       

結局、低音域用のコイルは4.7mh、コンデンサーは37μF、中音域用のコンデンサーは20μFが必要と分かった。ピッタリの数値のものがないのは当たり前で、およそ近似値のもので済ませても大勢に影響はないことが経験上分かっている。

コイルを3個合わせて似たような数値にしてからSPコードの+線に直列にして結線し、次に20μFのコンデンサーを2個並列にして、SPコードの+線、-線にそれぞれ結線して低音域は無事終了。「半田ごて」が大活躍。

中音域は6db/octだから簡単で22μFのコンデンサー1発をSPコードの+線に挿入して終わり~。

さあ、最初の音出し。いつものようにワクワク・ドキドキしながらスイッチ・オンして聴いてみると、なかなか“いい線”をいっている。375がまるで生き返ったみたい。ま、これで一段落かなあ~(笑)。

しばらくこの状態でいろんなCDを聴いてみることにした。
 


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