「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

色気があって振るい付きたくなるような音!

2014年03月14日 | オーディオ談義

昨日(13日)、別の用事があってオーディオ仲間のKさん(福岡)に連絡をとったところ、開口一番「オーディオの続きの記事を楽しみにしていたんですが図書館と彫刻の話でしたね!」

「いやあ、急きょ予定を変更して申し訳ありません~。」というわけで、1日予定を早めて本日そのオーディオの記事をupします(笑)。

念のため、初めに前々回の最後の4行をリプレイしておくと、

オーディオはどうしてこんなに楽しいのだろう(笑)。胸をワクワク・ドキドキさせながら聴いてみると、これが実に素晴らしい。オペラ「魔笛」(モーツァルト)を聴いたときに「これはいったい何という音楽なんだ!」と感激したが、このときとまったく同じでこの音をいったいどう形容すればいいのだろうか?


いきなり固い話から入って恐縮だが、もしモーツァルト・ファンと称するのであればこれを読んでいないとモグリだと評されるほどの名著がある。

それは評論家・小林秀雄氏の「モーツァルト」(1946年初出)だが、その中の一節に「美の本質は感動に満ちた沈黙を創り出すことにある。(美とは)そもそも言葉で表現できるものではない。」といった趣旨のことが書かれている。

「いい音楽」にしろ、「いい音」にしろ行きつくところは「美」だが、道理で、実際にそういうものに出くわしたときに適切に形容する言葉がなかなか出てこないはずである。もともと言葉で表現することなんか無理なんだから。

こういう中、私たちオーディオ仲間の間では「いい音」に接したときに苦し紛れに発する共通の言葉がある。

「色気があって振るい付きたくなるような音ですね!」 言うに困るとはいえ何ともまあ、俗な表現(笑)。

実は今回、「刻印付き2A3真空管」で鳴らした「AXIOM80」の音がまさにそれだった。


ちなみに1950年代に製造されたSPユニット「AXIOM80」(イギリス)は、「45真空管アンプ」でテストしながら開発されたことはつとに有名だが、その「45」の出力を高めた発展系の真空管が「2A3」だから相性がいいのは当たり前だが、1940年代の古典管がこれほどうまく「AXIOM80」を鳴らすとはさすがに思いもよらなかった。

「AXIOM80」をうまく鳴らすコツは「駆動するアンプがカギを握っている」ので、これまで散々テストしてきた結果、真空管アンプ「WE300B」と「PX25」に落ち着いていたのだが、この「刻印付き」にはほんとうに参った。

もちろん回路や電源トランス、出力トランスなどのマッチングもうまくいったのだろう。昨年、改造してもらった“手練れ”のMさん(奈良)に改めて感謝である。

しかし、あまりに“いい音”に直面するとうれしい反面、「この音を絶対に失いたくない」という不安にも駆られるものである。心あるマニアなら極めて保守的で切実なこの心理をきっと分かっていただけると思う。

「何といっても70年以上も前の球だからもし突然切れたらどうしよう。ヨーロッパ系の球は寿命が短いという噂があるので不安だ。この球でないと絶対に再生できない世界があるんだから急いでスペアを獲得しておかなければ」とばかりに、すぐに東京の〇〇堂さんに「刻印付き」をさらに1ペア追加注文した。

「もうペアが取れる球がありません。ほかの球ならあるのですが」とのことだったが、「少しくらい特性の差があっても構いませんよ。ぜひ同じ銘柄をお願いします」と、無理を言った


これで一気に3ペア(6本)確保。九州の片田舎からの相次ぐ注文に〇〇堂さんもきっと目を白黒されているに違いない。

おっと、つい夢中になって話が先に飛んでしまった。わざわざ福岡からお見えになったKさんの話に戻ろう(笑)。

今回試聴用にKさんが持参された名花「シュワルツコップ」(ソプラノ)の「オペレッタ・アリア」(CD)は実に素晴らしかった。

             

レコード時代からの長年の愛聴盤だそうで、たしかにシュワルツコップはこんなに上手かったのかと思わせるものがある!

これに目覚めて、同じシュワルツコップのモーツァルトの「歌曲とアリア集」(2枚組)を引っ張り出してこのところ連日聴いているが、あまり録音が良くないものの、ピアノがギーゼキングときているから雰囲気は抜群でこれ以上の名コンビはおるまい。

今回の試聴会は音の収穫ばかりではなく、名歌手の再発見もできたのは実にありがたかった。

2日後にKさんから次のような連絡があった

「譲っていただいたメイド・イン・HOLLANDの6922(4本)ですが、プリアンプとパワーアンプに挿し込んで聴いたところ、これまでで一番いい音が出ました。さすがにオランダ・フィリップスは音楽の聞かせどころを知ってますね!どうもありがとうございました。」

           

しまった、ライバルに塩を送ってしまったか! ま、いっか。「刻印付き」を教えてもらったことだし、これで“あいこ”だな~(笑)。


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