「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

オーディオ談義~テレビ視聴用のスピーカー~第3弾

2011年10月11日 | オーディオ談義

前回からの続きで、これが終回となります。

テレビ視聴用のスピ-カー(SP)を作ったのはいいものの、それほど広くもないオーディオ・ルーム(6m×7m)なので置き場所に困ってしまった。

常時聴くSPとなると、ウェストミンスター(タンノイ)の前に置くわけにもいかないので、やむなく上に載せてみた。

          

テレビを観るときにはいつも応接椅子に座った状態なので、これでは耳のレベルよりも随分と上の方から音が聞こえることになる。

一般的に人間は上方から聞こえる音には不快感を持つものとされている。

これはずっと太古の昔から不変のもので、子供のときに大人から説教されるのは上方からの声だし、また「お上」(おかみ)からの”お達し”などは通常、平伏して拝んだ状態で聞くのが当たり前だった。

これらが悪しき印象となって、それぞれの脳に刻み込まれ、上方からの音に対して誰もが屈服感というか不快感を覚えて拒絶反応を示すのは理解できるところ。

西洋の場合でも「神」からの声は天上から聞こえるものとされ、これも一方的な服従関係を示している。

というわけで、音はやっぱり耳と平行の高さで聴くのが一番自然である。

とはいうものの、贅沢を言ってもおれないのでやむなく、こうやって聴かざるをえないわけだがこの位置だと、どうわけか低音がやや不足気味になってしまうがこれも仕方がない。まあ、我慢できる範囲ではある。

ただし、「井の中の蛙」にはなりたくないし、自分の「駄耳」には日頃から信用が置けないので、「この音」を湯布院のAさんに聴いてもらいご意見をいただくことにして連絡したところ、「丁度、仕事の関係で近くに来ました」とのことで9日(日)の午後3時ごろに我が家にお立ち寄りいただいた。

録画したアンネ・ゾフィー・ムターの弾くヴァイオリン協奏曲(モーツァルト)を聴いていただくと、「テレビの音ならこれで十分ですね」とおっしゃったが、「テレビ内臓のアンプでこれほどの音なら外部の別のアンプにつなぐと、もっと”いい音”で鳴るでしょうね~」。

なかなかAさんらしい含みが感じられる”お言葉”。こういう風に言われると、やっぱりオーディオ・マニアとしての血が騒ぐ。

帰られた後で、すぐに小ぶりのトランジスターアンプ(出力10ワット)を部屋の隅から引っ張り出した。音声信号をテレビのチューナー部から取ってアッテネーター(FRのAS-1)につなぎ、それからアンプへと接続。ちょっぴり本格的なシステムへと移行。

一段と音が澄んできたのには驚いた。トランジスターアンプは一般的に可能出力範囲の半分以上の能力で活用するのが良いとされているので、2年ほど前に出力10ワットの小出力のものをあえて購入しておいたのだが、いい塩梅で能率の高いこのユニット(リチャ-ド・アレン)にピッタリ。

「よし、うまくいった」と満足してその日は21時ごろ就寝したものの、翌朝、寝床の中で「トランジスターアンプであんなに良くなるのなら、真空管アンプならどんな音がするんだろう」とふと思いついた。

期待に胸を弾ませて飛び起きたのが(10日の)午前4時半ごろのこと。まだ皆が寝静まっている中をこんなに朝早くからゴソゴソして回るのだからまったくゴキブリ亭主である。

現在使ってない真空管アンプは2台あって、一つは「PX25シングル・ステレオ」、もう一つは近代管の「VV52Bシングル・ステレオ」。

出力管の「PX25」は周知のとおり、およそ60年ほど前の古典管でイギリスが発祥の地。アメリカのWE300Bと匹敵する名三極管としてヨーロッパに君臨していたものだが、リチャード・アレンのユニットも同じイギリスなので相性がいいだろうと、こちらの方を採用。

                

出力トランスはあのオルトフォンのカートリッジで有名なデンマークの「JS」社のもので小ぶりながらも実に素直な音がする。

そして、せっかく真空管アンプにしたのならと今度は音声信号をテレビチューナーのデジタル端子(光)からDAコンバーター「ワディア27ixVer3.0」で受け取り、そのアナログ端子(4分岐)からPX25アンプに接続。

結局、当初にはテレビ用のリモコンひとつで音声と画像を操作できたものが、まるで予想もしなかったほどの本格的(?)なシステムへ変身というわけだがさすがに音の方も大変身。

何といってもトランジスターと真空管では音の”肌触り”が違うようだ。後者では、音が”しっとり”としてビロードの光沢のような艶となり、高域の繊細さも”ひとしお”で思わず胸をハッとさせるものがある。

ただし、トランジスターアンプの方も周波数特性が低域から高域までフラットの感があってなかなか捨てがたい味があり、値段から考えると大善戦。このアンプと比較すると、PX25アンプの(音の)重心をもっと下げたい気がしてくる。いずれ何らかの改造が必要だが、「帯に短し、たすきに長し」、なかなかうまくいかないものだ。

とにかく、こういうわけでこのテレビ視聴用のスピーカーはCDも聴けるようになり我が家の第三システムとしてどうにか通用するレベルとなった。メデタシ、メデタシ。

ちなみに、第一システムは「アキシオム80」、第二システムは「ウェストミンスター」である。

アレッ、すべて「イギリス製のスピーカー」になってしまったぞ!

「システムが三つもあってどうするの?」と問われそうだが、オーディオはどんなに「好みの音」になろうと長く同じ音を聴いていると、所詮は飽きてくるものだと思う。人間の脳は”慣れ”に対してはことのほか厳しい。

そこで一日のうち、朝、昼、晩にわたってこれらのシステムをうまく使い分けるようにすると、飽きが来なくて「音」を未来永劫に楽しめそうな気がする。

またシステムが三つともなると機器のスイッチを入れたり、切ったり、あるいは入れる順番とかが複雑になって”粗雑な頭脳”にはたいへんな重荷だが脳の”老化防止”にはいいかもしれない
、な~んて、この考えはちょっと甘いかなあ。

 


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