映画はあまり観るほうではないが、やはり好きな俳優は何人かはいる。その中でも双璧は、ジェームズ・スチュワートとゲレゴリー・ペックである。
前者の場合は、ひ弱そうな外観なのに芯がしっかりした人間を演じるのが実に巧みで、「リバティバランスを撃った男」「ウィンチェスター銃73」「西部開拓史」「遠い国」「グレンミラー物語」「裏窓」などかなりの作品を鑑賞している。
後者の場合は、「ローマの休日」をみて以来のファンで「大いなる西部」「恐怖の岬」「オーメン」「白鯨」「ナバロンの要塞」など枚挙にいとまがない。
そのグレゴリ・ーペックの「わが人生を語る」がNHKのBS2で録画による放映があった。ペックは残念なことに2003年に87歳で死去しているが、実に懐かしかった。
番組では、観客の質問に答える形で進行されていたので分かりやすかった。興味のある質問と回答を拾ってみた。
一番好きな作品は? →「アラバマ物語」(アカデミー主演男優賞受賞)
「ローマの休日」で共演したオードリー・ヘップバーンの印象は? →ユニークな人で魅せられた。自分は引き立て役に過ぎなかった。宣伝用のポスターに自分の名前と併記するよう進言した。
「アラベスク」のソフィア・ローレンとのシャワーシーンでは彼女は本当に裸だったのか? →YesでもNoでもないが、かなり目を見張ったことは確かです
撮影中の恐怖の出来事は? →「白鯨」の撮影シーンで海に溺れかかった
どういう人として記憶されたいか? →いい夫、いい父親
そのほか、演技のコツ、好きな役柄、現在の伴侶とのなれそめなどがユーモアに富んだ語り口で披露されたが、人柄を表していて親しみやすさを感じた。懐古趣味かもしれないが、こういうバランスのとれた俳優はもう出てこないだろう。