経営コンサルタント田上康朗の雑感帳

経営コンサルタント田上康朗が、気ままに本音で記す雑感帳です。書く日もあれば書かないときもあります。

人の足が街にオアシを落とす

2006年05月27日 | Weblog
  郊外への大型店出店を規制する「まちづくり三法」の1つ「改正都市計画法」が参議院本会議で可決、成立した。

 法律を動かすことが、商店街の賑わいを戻すことになろうか。
 話は、つい最近までの巨大ホテルの戦略の話。

  普通、観光業者は自分のホテルなどの施設を大きくし、その中で観光客がお金を落としていくよう工夫する。多くの観光地の歴史がそうである。長い間、観光客は、車というベルトコンペアに乗せられその街に一歩も足を下ろすことなくホテルに運ばれ,その中でひたすらお金を落とすよう仕向けられてきた。これでは街は寂れた。

 そして、沈みゆく大船で、イス取り合戦していた彼らも沈んでいった。北陸の和倉などその典型的な例であろう。

今度の新法により、郊外の大型店が、1万平米以下の店舗を、各地に分散されることになろう。それを結ぶのは、車。既存のアーケド街やカラー舗装の商店街は、その車のバイパス化。これはこれまでにも各地の商店街で見られた事例である。またその再現か。

他方、城ノ崎や湯布院などは、各ホテルにできるだけ施設を取り込まず,外に共同施設やイベントを設定し、それらを巡らせることで町に回遊性を持たせることが繁栄を招くことにきづき、そして成功した。また、熊本県阿蘇の黒川温泉街が活性化トしたのも、各旅館が内湯を開放し、観光客に風呂めぐりの楽しみを提供したところに、起点がある。観光客が,趣向の異なる温泉風呂に入るため温泉街を軒並み歩きまわること。すなわち賑わいである。
これはとりもなおさず分断されていた社会的システムの有機的結合が図れたことを意味する。その結合の機能を担うのは「人の足」である。

人の足と車、車を降り、楽しく歩き回れる空間こそ本来の街であり、「人々が歩く街」を取り戻すことこそ「賑わい」、街の活性化の本質である。
車の賑わいではなく、人の足の賑わい、人の足こそが、街にオアシを落としてくれるのだから。
 この視点が欠如したのでは、なにものであっても期待はかけられない。