先日、某番組を見ていて、ふと思い出したことがありました。
司会者が出演する素人芸人さんたちに名前を尋ねました。
「お名前は何ですか?」
Aさんタイプ「あ、大阪から来ました○○です。」
Bさんタイプ「えっと、北海道から参りました○○です。」
6人に質問をしたところ、Aさんタイプが最も多く3人、Bさんタイプが2人、その他が1人でした。
これは日本語の特徴なんですが、相手の話を受けるとき、いきなり発話せずに、「あ」とか「えっと」などを入れるんです。これは母語話者はあまり気付かないことですし、日本語学習者には習得しにくいところです。
昔、イギリスに短期滞在をしたときの話です。よく名前を聞かれました。
"What's your name?"
あまりにもよく聞かれるので、質問されるとわかっています。私は、こう答えました。
"A, Suzu."
すると、
"Oh,your name is Asuzu."
私は日本語の習慣で、答えの前に「A(あ)」を入れてしまったのですが、英語にはそのような習慣がありません。当然、聞いたほうは、私の名前は「あすず」だと思ったというわけです。
このようなことは論文にも書かれています。電話会話で調査した結果、
「あ」・・・開始部において、受け手がかけ手を認定するメタメッセージを伝える談話標識として機能
「じゃあ」・・・終始部において、終結への意向を暗示し、移行場所で段階的に終結へと導く談話標識として機能
ということが明らかになりました。無意識に使っている「あ」ですが、とっても大切な働きをしています。そして、それは日本語の特徴であり、英語では機能しません・・・
参考文献
岡本能里子・吉野文(1997)
「電話会話における談話管理―日本語母語話者と日本語非母語話者の相互行為の比較分析―」『世界の日本語教育』7
司会者が出演する素人芸人さんたちに名前を尋ねました。
「お名前は何ですか?」
Aさんタイプ「あ、大阪から来ました○○です。」
Bさんタイプ「えっと、北海道から参りました○○です。」
6人に質問をしたところ、Aさんタイプが最も多く3人、Bさんタイプが2人、その他が1人でした。
これは日本語の特徴なんですが、相手の話を受けるとき、いきなり発話せずに、「あ」とか「えっと」などを入れるんです。これは母語話者はあまり気付かないことですし、日本語学習者には習得しにくいところです。
昔、イギリスに短期滞在をしたときの話です。よく名前を聞かれました。
"What's your name?"
あまりにもよく聞かれるので、質問されるとわかっています。私は、こう答えました。
"A, Suzu."
すると、
"Oh,your name is Asuzu."
私は日本語の習慣で、答えの前に「A(あ)」を入れてしまったのですが、英語にはそのような習慣がありません。当然、聞いたほうは、私の名前は「あすず」だと思ったというわけです。
このようなことは論文にも書かれています。電話会話で調査した結果、
「あ」・・・開始部において、受け手がかけ手を認定するメタメッセージを伝える談話標識として機能
「じゃあ」・・・終始部において、終結への意向を暗示し、移行場所で段階的に終結へと導く談話標識として機能
ということが明らかになりました。無意識に使っている「あ」ですが、とっても大切な働きをしています。そして、それは日本語の特徴であり、英語では機能しません・・・
参考文献
岡本能里子・吉野文(1997)
「電話会話における談話管理―日本語母語話者と日本語非母語話者の相互行為の比較分析―」『世界の日本語教育』7