東京の土人形 今戸焼? 今戸人形? いまどき人形 つれづれ

昔あった東京の人形を東京の土で、、、、

鳩笛

2019-11-06 11:49:15 | 仕事場(今戸焼 土人形 浅草 隅田川)

 今度の入院前にぎりぎり仕上がっていた大きいほうの鳩笛。新登場で初めてひとさまにお見せします。

形や配色は生粋の今戸人形師最後の人であった尾張屋・金澤春吉翁(明治元年〜昭和19年)のお作りになられたものを手本にモデリングしました。

この春、目黒区駒場の「べにや民藝店」さんでの作品展では小さな本来施釉仕上げ向けに用意していた型に尾張屋さん風の配色で塗ったものをならべさせていただきました。(下の画像です)

 これら小さい鳩笛は頭、背中、尾の中心を縦に割り目が走るようになっているので型抜きしやすく、バリ取りのついでに両足の谷間をくり抜くやり方ですが、今回の大きな鳩笛は底にモミジのような形の両足の陽刻があり、縦割りでは引っかかって抜けないので、尾張屋さんはいったいどのように割り目をつけていたのか長年考えてきたのですが、難しそうですが、今回試してみました。

 割り目はクチバシから目の下辺りまで進んで首を下に下りて肩から翼の稜線に沿って尾につながるように走らせます。この場合合わせ目が肩から翼にかけての羽の形の彫りに被ってバリによって彫が潰れてしまうのですが、尾張屋さんのお手本を見ると彫が崩れているような箇所が見受けられます。

 

 配色については尾張屋さんのを手本にさせてもらいましたが、「人形は顔が命」の浅草橋の吉徳さんに伝わっている天保3年(1832)に描かれた、人形、玩具の配色手本である「玩具聚図」に描かれ、指定されている鳩笛の配色に酷似しているのです。生前の春吉翁は手本を見て鳩笛に彩色した、というより、若い頃からの修行のなかでごく自然に憶えて身についた江戸時代から続いた今戸人形の骨法のひとつだったと考えるのが自然だと思います。

 今回の彩色では尾張屋さんのお手本の配色に倣ってみましたが、改めて天保3年の「玩具聚図」に指定されている配色でも塗ってみて比べてみたいと思います。

 大きい鳩笛と小さい鳩笛。笛として吹き口、鳴り口の細工の原理は変わらないかとは思いますが、大きさで音色がだいぶ違ってくるものだと実際作ってみて実感しています。小さければ「ピーツ」っと高い音色。大きいと「ボーツ」という感じの鈍い音色になるんですね。土鈴の音色の加減も奥深いと思いますが、笛の音色も微妙なものだと思います。

 

 画像大小のの鳩笛は11月13日(水)からの丸の内丸善本店4Fギャラリーで開催される「みそろぎ人形展」でならべていただく予定になっています。お近くお出かけの際はお寄りいただけますと幸いです。


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