おはようございます。本日が「9.11」10年。これからの10年は「希望の10年」にしましょう。
生き生き箕面通信1008(110911)をお届けします。
・「9・11」から10年。これから世界は、日本はどうすべきでしょうか
今朝の朝日新聞は若宮啓文・主筆の「『9・11』10年と日米――『同盟の深化』超える戦略を」を3面に社説のような体裁で掲載しました。節目のこの日に主筆直々のお出ましとあって、さぞかしの内容だろうと期待して目を通しました。が、靴の上から掻くような、寒々した思いにとらわれました。最大の欠陥は、「世界の平和を構築しよう。そのために日本も貢献しよう」とする烈々たる気迫がまったく感じられなかったことです。
世界情勢の認識については、こんなまとめ方です。「(アメリカの)大義の国という看板は色あせて、一極支配と言われた冷戦後の地位も失った。軍事支出を倍増させて財政の首もしめてしまったし、リーマン・ショックを招いた住宅バブル崩壊は、苦しい戦争のもと虚勢を張り続けた経済政策のつけだろう。挙げ句にいまの経済危機。安保も経済も米国がリードできず、世界は漂流状態に陥ったかのようだ。9・11の挑発に乗った米国を嗤っているのは、地下に眠るテロリストたちかもしれない」と。たしかに、テロリストたちは笑っているのかもしれません。しかし、この10年の世界の変化をテロリストの嘲笑に帰着させてしまっていいのでしょうか。
限られた紙面の中でも、せめてもう一歩進め、「アメリカがこの間、世界の平和構築のために懸命に努力していたら、どうだったか」という想定はできなかったものか。「9・11」後にアメリカが使った国土安全保障関連予算は約6486億ドル(約49兆31千億円)とされています。この多くを、中東の民生の安定・向上のために使っていれば、この地域の政情はどれほど安定感を増したことか。いま、「中東の春」のために立ちあがった中東の人々は、テロなどの過激な運動にはそれほど共鳴していない。自分たちの手で「民主的な国」を創ろうと地道な努力の必要性を切実に感じているとされています。
主筆のコラムは次に、「さて、日本である」と、日本の問題に焦点を移し、中国の存在感と普天間基地の二つを取り上げました。主筆の主張は、「アメリカが衰えてきたのだから、日本は自力で、周辺諸国との外交に力を入れ、特に領土問題を克服する戦略的外交が必要である」と強調。普天間基地問題については米国の研究者の論文の「空軍は沖縄に欠かせないが、海兵隊が西太平洋のどこにあるかはさして重要ではない」を引き合いに出して、「国外移設」を示唆しました。これは、朝日にしては「勇気ある提言」であり、社論の大きな方針転換と受け取れます。しかし、もう一歩踏み込んで、鳩山元首相が提唱した「東アジア共同体」の創設について、「これを促進すべし」と主張してほしかった。
朝日の主筆にしてこの程度の論説しか「モノ」にできないところが日本の現状だとすると、一般の私たちはなお地道に努力するほかないと思わざるを得ません。
生き生き箕面通信1008(110911)をお届けします。
・「9・11」から10年。これから世界は、日本はどうすべきでしょうか
今朝の朝日新聞は若宮啓文・主筆の「『9・11』10年と日米――『同盟の深化』超える戦略を」を3面に社説のような体裁で掲載しました。節目のこの日に主筆直々のお出ましとあって、さぞかしの内容だろうと期待して目を通しました。が、靴の上から掻くような、寒々した思いにとらわれました。最大の欠陥は、「世界の平和を構築しよう。そのために日本も貢献しよう」とする烈々たる気迫がまったく感じられなかったことです。
世界情勢の認識については、こんなまとめ方です。「(アメリカの)大義の国という看板は色あせて、一極支配と言われた冷戦後の地位も失った。軍事支出を倍増させて財政の首もしめてしまったし、リーマン・ショックを招いた住宅バブル崩壊は、苦しい戦争のもと虚勢を張り続けた経済政策のつけだろう。挙げ句にいまの経済危機。安保も経済も米国がリードできず、世界は漂流状態に陥ったかのようだ。9・11の挑発に乗った米国を嗤っているのは、地下に眠るテロリストたちかもしれない」と。たしかに、テロリストたちは笑っているのかもしれません。しかし、この10年の世界の変化をテロリストの嘲笑に帰着させてしまっていいのでしょうか。
限られた紙面の中でも、せめてもう一歩進め、「アメリカがこの間、世界の平和構築のために懸命に努力していたら、どうだったか」という想定はできなかったものか。「9・11」後にアメリカが使った国土安全保障関連予算は約6486億ドル(約49兆31千億円)とされています。この多くを、中東の民生の安定・向上のために使っていれば、この地域の政情はどれほど安定感を増したことか。いま、「中東の春」のために立ちあがった中東の人々は、テロなどの過激な運動にはそれほど共鳴していない。自分たちの手で「民主的な国」を創ろうと地道な努力の必要性を切実に感じているとされています。
主筆のコラムは次に、「さて、日本である」と、日本の問題に焦点を移し、中国の存在感と普天間基地の二つを取り上げました。主筆の主張は、「アメリカが衰えてきたのだから、日本は自力で、周辺諸国との外交に力を入れ、特に領土問題を克服する戦略的外交が必要である」と強調。普天間基地問題については米国の研究者の論文の「空軍は沖縄に欠かせないが、海兵隊が西太平洋のどこにあるかはさして重要ではない」を引き合いに出して、「国外移設」を示唆しました。これは、朝日にしては「勇気ある提言」であり、社論の大きな方針転換と受け取れます。しかし、もう一歩踏み込んで、鳩山元首相が提唱した「東アジア共同体」の創設について、「これを促進すべし」と主張してほしかった。
朝日の主筆にしてこの程度の論説しか「モノ」にできないところが日本の現状だとすると、一般の私たちはなお地道に努力するほかないと思わざるを得ません。