生き生き箕面通信

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1475 ・映画「二つの祖国で」に見る日系陸軍情報部の活躍

2013-01-05 07:44:15 | 日記

おはようございます。                                                                            生き生き箕面通信1475(130105)をお届けします。

・映画「二つの祖国で」に見る日系陸軍情報部の活躍

 当時の日系人の心のありようを思いはかり、今の日本人がアメリカに対する心持ちとを重ねて、この映画を観ました。「同じや」と思いました。「長いモノには巻かれろ式生き残り戦略」という面でです。

 先の太平洋戦争で戦役につかされた日系人は、「二つの祖国の間で」日本と闘うことに悩み苦しんでいたかと思いきや、そんな場面は、この映画に関する限りほとんどありませんでした。むしろ、積極的にアメリカ軍の一兵士として協力し、日本を敗北させることに懸命に努力していました。

 その最大の功績のひとつが、山本五十六・連合艦隊司令長官を討ち取ったことです。山本長官の動静を伝える極秘電波を日系兵士が無線傍受し、長官の搭乗機を攻撃、戦死させたことでした。証言者の声は「山本長官を討ち取るということは、日本軍がマッカーサーを討ち取ることに等しいのでした」

 アメリカ政府は、日本が真珠湾攻撃をする1か月前に日本語習得の教育機関を設け、最終的には6000人の日系卒業生を各地の戦線に送って、獲得した日本軍の膨大な文書の翻訳や、捕虜の尋問にフルに生かしたそうです。それとは対照的に、日本軍は英語を敵性言語として排除し、英語を使える兵隊は養成しなかったのです。これでは、闘いで最も重要な分野のひとつである情報戦で最初から負けていたようなものです。

 それはともかく、日系人の心のありようです。日本が真珠湾を奇襲して以来、日系人は差別され、さげすまれました。そのため、アメリカへの「忠誠」を見せなければならず、それだけ余計に勇敢な戦いをして見せたのです。アメリカ政府は、真珠湾以来、日系人を強制収容所に隔離しました。ヒトラーが、ユダヤ人を強制収容所に隔離したのと同じです。大量殺人のためのガス室はありませんでしたが。

 しかし、勇敢に闘ったのは、単に父や母、兄弟や子どもたちが隔離されたからだけではないように見受けました。「長いモノ(アメリカ政府)には巻かれろ」という考え方が、無意識にしろ働いたのではないか。

 今を生きる私たちの中にも、「強いモノには巻かれろ」という意識が色濃く働いているように思われます。敗戦以来いまに至るまでアメリカは日本をコントロールしてきました。細かい日常の作法はともかく、これといった重要な方向を決める場合は、アメリカの意向が濃い影響力を持ってきたのです。

 国際的な取り決めでも、アメリカに従って票を投じていた方が楽であり、それなりに幸せだった。そして、いまや政治の分野はもちろん、経済界、学会、さらにはジャーナリズムの世界でもアメリカの鼻息をうかがう姿勢が習い性になってしまいました。既得権益勢力は、アメリカと一蓮托生でこそメリットが大きいことを肌で知っているのです。それ以外の考え方はできなくなってしまったようです。

 しかし、そうした生き方が私たち庶民の幸せに一直線で結びついていのかどうか。一番必要なことは、自分の頭で考え、自分で判断する力を磨くことだと思います。現在は、無意識にしろ、新聞やテレビのコメンテーターなどが流す「考え」に左右され過ぎているのではないかと危惧しています。もしそうなら、日本を次の世代にそのまま引き継ぐわけにはいかないではないでしょうか。今年は、強くしみこんでしまったマインドコントロールの力からみずからを解き放つ作業がとりわけ必要に思われます。