おはようございます。
生き生き箕面通信1157(120208)をお届けします。
・アメリカが狙う食糧による世界支配――TPPの陰で暗躍するモンサント
「モンサント」という米国企業が、世界各地に悪質なタネを広めつつあります。モンサント社は「アメリカ政府は昔から手なずけているから心配することはない」と、鼻息が荒い。
モンサントが広めつつある悪質なタネは、遺伝子組み換え(GM)の作物種子です。すでにGM種子市場ではアメリカ国内の90%を、世界でも90%とほぼ独占しています。このGM種子は、作物は収量が良いのですが、問題は一代限りということです。そのためを取っておき、次の年にまいても、育たないのです。つまり、毎年、モンサントからタネを買わなければならない仕組みなのです。仮に次の年にも育つように工夫して成功しても、それは特許侵害で巨額の賠償金を取る予防線も張っています。
アメリカは、モ社のほかにカーギル社などを含め食糧メジャーズが、世界市場を制覇する戦略を推し進めています。
世界の人口が70億人時代に入り、食糧紛争があちこちで起こっています。チュニジアに始まった「アラブの春」での民衆蜂起も、底流には食糧不足がありました。世界で飢えに苦しんでいる民は、計り知れない。少しでも収量のいいタネがほしい。そこがモ社などの付け目です。
日本は、野菜は自給率がほぼ100%と胸を張ったりします。しかし、実はその種はモ社のものだったりするのです。だから毎年、タネを買わなければならない。
こうしてタネを抑えてしまえば、世界の食糧を抑えることができるのです。TPP(環太平洋経済連携協定)はモ社がアメリカ政府の尻をたたいています。日本の市場をねらって暗躍しています。遺伝子組み換え作物の基準を緩和させて、日本での食品市場をおいしくいただこうという動きです。モ社はアメリカの通商代表部(USTR)を通じて、日本に対し遺伝子組み換え作物を使った食品の表示義務を免除するよう働きかけています。
もちろん、遺伝子組み換えした「おいしくて収量のいいコメのもみ」も売り込むつもりです。TPP交渉はさまざまな仕掛けが埋め込まれた地雷原を行くようなものです。そしてその地雷原を無事に通り抜けたと思ったら、そこはアメリカの属国だったということです。
アメリカの「ナチュラル・ソサエティ」というウェブサイトが、モンサント社を「2011年度の世界で最も悪質な企業」と認定し、”名誉ある”公表をしました。このサイトは、有害な食品や薬品に警告を促す情報を掲載しているものです。このモンサントの悪質さについて、成澤宗男さんが「週刊金曜日」(2月3日号)でリポートしています。
それによると、モンサントは今から110年ほど前の1901年に設立され、原爆を開発したマンハッタン計画にも参加、ベトナム戦争では、枯葉剤に使われた猛毒のダイオキシンを生産して大儲けした、そうです。
アメリカ政府は、モンサントの顧問弁護士だったマイケル・テイラー氏を、遺伝子組み換え(GM)作物を担当する食品医薬品局の副政策局長とし、そのあと農務省食品安全検査局の審議官としました。退官後はモンサントの副社長としてGM作物売り込みの主役を担っています。