おはようございます。
生き生き箕面通信1150(120201)をお届けします。
・TPPはアメリカがめざす世界支配再構築の第一歩
アメリカのオバマ大統領は、TPP(環太平洋経済連携協定)の
成立を極めて高い重要政策と位置付けています。それは、最終
的な目標の「パクス・アメリカーナ」、つまりアメリカによる世界支
配の再構築に欠かせない一歩だからです。
アメリカは、まずTPPの枠組みの中でアメリカ基準をTPP基準
として採用させます。TPP参加国にアメリカ流の法体系やビジネ
スに関連するもろもろのシステムを押し付けることになります。
日本が参加していれば、もちろん日本も受け入れざるを得ない。
「交渉事だから、国益に反するものは拒否すればいい」と、政府
を含むTPP推進者はいいますが、そんな生易しいものではなく、
アメリカとの力関係はよく知られている通りです。歴史的に見ても、
対アメリカでは今も不平等条約のもとにあります。日米戦争に敗
戦してから、直接、間接にアメリカの強い影響力、つまり支配の
もとにあります。国の基本の国防自体がそうです。
日本も参加していればTPP参加国のGDPは、世界全体の半分
を超えます。このTPP域内が経済成長力を示すと、他の地域から
のアプローチも出てきます。
一方、WTO(世界貿易機関)のドーハ・ラウンド(多角的貿易交
渉)は10年以上の時間をかけながらも交渉は難航し、行き詰まっ
ています。
さらに、アメリカ自体が財政悪化で、「世界の警察」(世界支配)
を自認する地位からずり落ちつつあります。そして、世界第2位の
GDP大国にのし上がった中国の台頭。
時あたかもアメリカは大統領選挙戦がスタート。支持率が落ちて
きているオバマ氏としては、「強いアメリカ」の指導者をとりわけ強
調しなければなりません。
アメリカ基準を、TPP域内に適用させてTPP基準にできれば、次
は行き詰っているドーハ・ラウンドにも影響を及ぼし、新しいグロー
バル・スタンダード(世界基準)にする。
実際には、そう簡単にいきませんが、アメリカはいま「アメリカ株
式会社」として世界にセールスに出ています。かつての通産省(当時)
と一体になった「日本株式会社」は真っ青です。すでに、アメリカの
シンボル、GM(ゼネラル・モーターズ)は生産台数世界一の座を
奪還しました。アメリカの底力恐るべしです。
いずれにせよTPPはアメリカの流儀を押しつけるものです。東大
も秋入学になります。教育の分野もますますアメリカ化します。
医療の分野も現実に「混合診療」が進み始めています。
私たちは、日本の伝統にもとづく「国柄」を大切にするのか、それ
ともアメリカン・ライフスタイルになびくのか、選択の岐路に立って
います。