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生き生き箕面通信

大阪の箕面から政治、経済、環境など「慎ましやかな地球の暮らし」をテーマに、なんとかしましょうと、発信しています。

生き生き箕面通信170 ・「ジャーナリストって、そんなもんですよ」

2009-05-10 08:14:20 | 日記
おはようございます。
生き生き箕面通信170(090510)をお届けします。

・「ジャーナリストって、そんなもんですよ」
 「沈黙を破る―考えるのをやめたとき僕は怪物になった」という映画を
観ました。昨日が十三・七芸での初日とあって、土井敏邦監督が舞台
挨拶をしました。

 「パレスチナ・イスラエル問題」を「”人間をきちんと描く”ことに徹した」と
土井監督自身が挨拶したように、片方に偏ることなく両側からの若い
兵士の”心の叫び”ともいえる発言を引き出したドキュメンタリー映画です。

 こんな声が、ごく一部ですが印象に残りました。

 ・「精神的な圧力と闘っているんだ」――500㍍四方の中に4万人が
閉じ込められたガザのバラーダ難民キャンプ。世界一といわれる人口密
度の中で、外部へは一切出ることができず、イスラエル軍の戦車で包囲
されたこの区画は、激しい砲弾を浴び、空からはアパッチ・ヘリでミサイル
攻撃される。直撃された死体から流れ出たおびただしい血のたまり。毛
布に包まれた死体の数々。死体にとりすがって泣き叫ぶ母や娘たち。
何年続くともしれぬ封鎖。イスラエルは、民族浄化をねらい、外部世界
に実情が伝わらないように町全体を収容所化し、人種隔離して殲滅し
つつあるのが実態です。その中で、ややもすると崩れかける精神が最も怖
いと仲間うちで「どうすれば、人間であり続けられるのか」と議論するパレス
チナの人びとを、カメラは追いかけています。

 ・「戦争は自分の深いところで、自分を失わせる」「小さな女の子を狙い
撃ちした。”死の確認”と称して、死体に何発も撃ち込むのは、日常の
こと。自分の銃の照準を直すために、死んだ女の子の頭を撃った兵もい
る」――イスラエルの帰還将兵のなかから、「沈黙を破る」というグループが
結成され、パレスチナで何をしたか、勇気のいる証言を始めた。黙っていれ
は、自分は「怪物」のままだ。「自分を浄化しないと、耐えられない」と、立ち
上がったのです。「この国(イスラエル)は、国そのものが病んでいる。治療が
必要なのだ」とも発言しています。

 かつて、南アフリカは、人種隔離政策(アパルトヘイト)で世界中から批判
され、白人社会は変わらざるを得ませんでした。しかし、ガザでイスラエルが
行っているのは、それを上回り、ナチスの上を行く民族の浄化を進めています。
つまり、パレスチナ人を難民として周辺諸国へ追い出すのではなく―それは
問題を表に出すことになる―閉じ込めたままゆっくりと絶滅させる国策なの
です。そして、それを見て見ぬ振りをしながら、一見、仲裁をするかのような
ポーズをとるのがアメリカでした。

 それにしても、一市民の土井氏は、ガザに入って、それもず~と何年にも
わたって取材活動をしてきた実績があります。日本の全国紙もやろうと思え
ばできることなのです。しかし、一切、そんな直接取材に基づく報道はあり
ません。だけど、ことは世界最大の人権問題です。民族浄化なのです。遠
い国のこととしてすませられる問題ではないはずです。ここにも、ジャーナリズ
ムの劣化が見られます。

 上映後に「沈黙を破る」という同じ題名の本のサイン会がありましたので、
サインをしてもらいながら聞いてみました。「ミサイルの直撃を受けるかもしれ
ない危険を冒してまで、なぜ何年も現地に取材に行くのですか」と。土井
さんはこう話しました。「ジャーナリストってそんなもんですよ」

○この「生き生き箕面通信」は、今月いっぱいで打ち切り、ブログの方に
移行することにさせていただきます。よろしくお願いいたします。ブログは
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