伊勢すずめのすずろある記

伊勢雀の漫歩…。
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戦後の録音媒体の変遷とアナログ・レコードの復活

2017年07月09日 | 随筆・雑感・回想など

吉永小百合のデビュー初期のレア盤(左)と、円熟期の希少盤(右)

 最近、C.D に代わり、アナログ・レコードの良さが再認識されつつあるとの報道がなされ、旧来のアナログ派やレコードのオールド・ファンにとっては、耳寄りな情報が最新のニュースとして伝わって来た。


むぎふみスターズの「麦畑」のジャケット

レコードの自社生産再開の記事 ~ 中日新聞(朝刊)の掲載記事より
 EPの新盤を最後に買ったのは、むぎふみスターズの「麦畑」(「オヨネーズ」盤とは別の、1989年9月21日、アポロン音楽工業株式会社発売。オヨネーズと共作の別盤)が最後だったかと思っていた処、大手のレコード会社・ソニーが、近年のアナロク盤の人気に乗じてか、かつてのレコードの自社生産を、約30年ぶりに再開するとのことである。(中日新聞・6月30日の朝刊 ~ 6面参照)
 レコードファンらにとっては、ありがたい話である。

 楽曲の大衆向けの録音媒体が、昭和年代末以降はカセット・テープや8トラ、レーザー・デスクの時代を経て、雑音の無い手軽なC.DやDVD(デジタル音波)がずっと主流であった。
 平成年代に入ってからは、国産のレコード・プレーヤーの生産が殆ど無くなり、一部の音楽ファンにしか鑑賞されていなかった、かつてのレコード盤音楽(アナログ音波)への回帰は、音響や音域、音質の良さとは別の、聴覚を鋭く刺激する何かがあるのかも知れない。


本間千代子の希少盤EPのジャケット


東映映画「君たちがいて僕がいた」の主題歌のジャケット ~ 透かし写真は舟木一夫

東映映画「君たちがいて僕がいた」の主題歌のジャケット ~ 透かし写真は本間千代子


 かつてのアナログ盤は、EPにしろLPにしろ、盤面の状態やジャケット等の保存程度の良否によって、かなり値打ちに差があるが、その後も全国の主要都市を中心に、中古レコードの専門店があって、限られたレコードファンをターゲットにずっと営業を続けて来ているし、一部の古書店でも取り扱っていた。


秘蔵 シングル盤天国 ~ 邦楽編(左)と洋楽編(右)


 生産枚数の数少ないレア盤や、廃盤などの中古レコードの中には、高額を極めたものもあって、それらのジャケット写真入りのランク付けの書物、「秘蔵 シングル盤天国」(1996年、株式会社 バーン・コーポレーション発行。邦楽編と洋楽編がある)が出版された事もあり、コレクターやファンらは全国各地の中古レコード店はもちろんの事、お宝探しに骨董市(ノミの市)や古物商を巡り歩いたものだ。


骨董市で見つけた、浜村美智子の希少盤EPのジャケット


 戦後間もない頃の昭和の時代には、大概の家庭に戦前からの蓄音機があり、78回転のSP盤(10インチ盤)を、鉄針のチリチリ音や盤面のキズによる針飛びなどがあっても、それなりに楽しんでいたものだ。
 そして、昭和年代の半ば頃には、45回転や33回転のコンパクトなEP盤(ドーナッツ版)が出回り出し、プレーヤーも持ち運びの出来る程に小型化し、レコード針も長時間の磨耗に耐える、サファイア針等へと変わっていった。


コロムビア・ローズ(2代目)の、4曲入EPのジャケット

日本ビクター40周年記念「思い出のレコード」(EP)のジャケット


 やがて、レコード盤も長時間楽しめるLP盤(10インチ盤と12インチ盤がある)が多量に生産され始め、音響装置もモノラル・タイプから、大型のオートリバースのステレオ・オーディオへと進化していった。
 当時の人気歌手らのヒット曲を収録したLP(33回転)や、クラシック音楽等の洋楽盤は、少し値が張ったが、人気歌手の新曲集やスター歌手らのアルバムが出ると、こぞって買い求めたものだ。


少年時代に父親とよく聴いていた、10インチ盤のLP「ポリドール・ヒット曲集」(「国境の町」~ ペラジャケ・8曲入)

コロムビアレコードのLP(10インチ盤)「あの日あの頃の歌」(12曲入 ~ ペラジャケ)


 そのような時代のレコード商品には、きれいなスチール写真(ペラジャケ)や、タイトル帯、ブック型の数十曲収録のライナー付きの豪華なアルバムをはじめ、歌手のブロマイドやポスターまで付いた、ファン・サービスに創意を凝らしたものまであったが、何んと言ってもEP盤のジャケットは、国内盤、海外盤、邦楽、洋楽を問わず、見るだけでも楽しいものがあった。


雑誌としての楽しさがあった、ブック型のソノシート

 EP盤から、カセット・テープやCDへの移行期間の間には、雑誌形式のソノシート盤の波及した時期があったのも、今となっては懐かしい限りである。


雑誌「明星」の付録に付いていた、広告ソノシート「山本富士子歌のプレゼント」

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