夏台風が消滅し、真夏日となった。連日の好天と猛暑に海に行ってみたくなった。伊勢市内からだとすぐ北に伊勢湾があるので、古くから二見ヶ浦海水浴場が有名である。ここは遠浅の砂浜ビーチで、夏場はかなり賑わうのだが、海水のきれいさでは志摩の海には及ばない。
もう、若いころのように、泳いだり、素潜りで魚を突いたり、貝を獲ったりする気はないが、こう暑いと海水に浸かりたくもなる。海風に晒されるだけでもいいからと、志摩の海岸まで行くことにした。
平日のせいか道路の混雑も無く、国府の白浜まで約50分で着いた。
ここは、以前は阿児の松原へと続く、白砂(はくさ)の砂浜海岸がゆるやかな弧を描き、正に「白砂清松」の美しい外海のビーチであつたが、今は波消しブロックが続き、防波堤を隔てた陸域にはゴルフ場がある。鵜方から国府を経て安乗に至る道路も拡幅舗装され、随分交通至便になった。
平日のせいか、この日は海水浴客も殆どいなく、サーファーもまばらであった。ほど良くそよぐ潮風が、汗ばむ肌に一抹の涼を与えてくれる。デジカメを引っさげて、少しだけ渚を歩いてみた。かつて一面に広がっていた浜木綿の群落も、今は僅かに残っているだけに過ぎない…。
昼前ともなると、夏陽が容赦なく肌を焦がし、灼熱のエネルギーが止めどもなく体内の汗を搾り出す、サングラスも欠かせない。水分補給も頻繁にしないと、熱中症になってしまいそうである。
国府白浜の次に行ったのは、甲賀漁港のある城ノ崎である。漁港には何隻かの漁船が停泊していた。ここは観光化されていないので、少し殺風景であるが、外洋に突き出たこの小さな岬は、激しい海食によって荒磯となっている。ここの沖合いは恰好の海女の漁場であろう。岬の先端から外海に続く岩礁や暗礁の群れが、打ち寄せる磯波を砕き、しぶく白波がとてもきれいであった。
せっかく真夏の志摩の海に来たのに、サーフィンと海女漁を見ない事には帰れない。市後浜なら、平日でも年中サーファーがいる。県外から来る若者が多いが、今は夏場のシーズンで、天気も良く風もさわやかだし、言うことはない。ここ市後浜は、サーファー達の楽園である。時折、波高の高い大波が押し寄せるので、見ていても楽しい。
正午を過ぎてから、海女漁を見に行ったのは名田(大王町)の小さな漁港であったが、残念ながらここには今しがた海から上がったばかりの、2~3人の海女さんしかいなかった。丁度お昼時でもあり、午前中の仕事を終えたのであろう、船揚場の横の海女小屋にたむろっていた。いずれもイソドの海女さん達である。
午後も漁に出るのか、ウェット・スーツが干してあった。
仕方なく、いつも遊びに行く大野浜に寄ってみた。ラッキーな事に、数人の海女さんがすぐ近くで素もぐり漁をしていた。その少し沖に海女船(あまぶね)も2隻停泊している。やはりイソドの海女さん達で、昨今は白装の海女着ではなくて、どの漁場でも真っ黒なウェット・スーツ姿である。
かつて絵葉書で見たような昔時の素朴な風情は無く、写真を撮ってもさっぱりで、とても絵にはならない。一部の観光海女を除けば、志摩では全てウェット・スーツ姿で、これだと男の海士(あま)も一緒に潜れるらしい。
大野浜では、時折がぶる寄せ波にゴムゾウリごと足を漬けて、独り悦に浸っていた。いつものように人気のない礫浜を辿り、きれいな茸形の小礫や、半ば瑪瑙化したフリント質の小石をいくつか拾った。
昼下がりの午後1時半をしおに、伊勢への帰途に着いた。 (7月28日 記)
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