アバウトなつぶやき

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至上の印象派展 ビュールレ・コレクション

2018年09月03日 | かんしょう
 名古屋市美術館で開催中の「至上の印象派展 ビュールレ・コレクション」を観てきました。





 夏休み中(あと2日で終わりの日)だったので、シロウタ&その息子たちも一緒に行ったけど子どもたちはお向かいの科学館へ行ったのでいつも通りシロウタと二人。お兄ちゃんは小6なのにしっかりしてるから任せられてイイねぇ、頼もしい。

 さて、NHKで宣伝しまくってるこのコレクション展。
 「あのビュールレコレクションが!」って感じで語られてるけど、私には「どのビュールレさんですか」ってな具合で、ビュールレ氏についての予備知識は全くなしでした。
 会場で紹介文読んで初めて知ったのですが、ビュールレ氏、収集家やパトロンである前に武器商人だったんですね。。。道理で資金が潤沢なわけです。
 その背景を知ってコレクションの動きを聞くとどうにも生臭くて、ある意味面白い。買ったものが盗品だったり、またそれを買い戻したり、盗難にあったり、武器輸出の禁止で商売替えしたり、現在では警備費維持が困難になってしまうとか(そのため、2020年にチューリッヒ美術館へ移管されることになり、それまでの間、警備費削減のために巡回してるから日本にも来たわけで)どうにもこうにも波瀾万丈なコレクションです。

 武器商人なんてのは敬遠したくなる響きですが、美術品には罪がない、、、ので楽しませていただきます。
 このコレクション、センスが良いんですよねぇ。私なんかに褒められても何の意味もないですが、私の好みの作品が大変多いのです。今回、来日したものは一部なのでしょうが、主たる収蔵品が巡回しているのは間違いないようです。
 そのうえで今回の展覧会の感想なのですが、印象派の時代の良作が多いこと、同じ画家でもタイプの違う作品を揃えているところや、風景画のコレクション傾向が私好みなのとが気に入りました。特に風景画について、アントーニオ・カナールの描くベドゥーテ(景観画)の精密さと美しさが素晴らしいと思ったのですが、その後、カミーユ・ピサロの作品を見た時に「あ、この構図、好き!」と思う作品が揃っていたのです。
 ピサロの作品に限らずなのですが、道だったり野原だったり、奥行きを感じる風景画が多いように思います。道はどこかへ続いている印象を受けるし、空は広がっているように感じる。しかも明るい色使いの作品が多いので見ていて明るい気分になるというか、わくわくするような気持ちになれる気がしました。
 マネの<燕>という風景画ものびのびとした風景が描かれていて大変気持ちがよいのですが、そのコーナーではマネの作品を3点並べてあり、<オリエンタル風の衣装をまとった若い女>、<ワシミミズク>など、マネと言ってすぐに思いつかないようなタイプの絵が並んでいたのが面白かったです。
 ゴッホの作品は明るい色調のものが多かったのも面白いと思ったし、モダン・アートのコーナーではヴラマンク、ドラン、ブラックが、それぞれ配色が素晴らしい作品だったのが目を引きました。
 ヴラマンクについては、最近観たどの作品よりもフォーヴ期であると感じましたし、ブラックの作品もキュビズムの構成でありながら色調はフォーヴのようで、時代を感じました。また、ドランの<室内の情景>は、赤、青、黒、そして黄土色のバランスがとても良くて、アンドレ・ドランの作品をもうちょっと気にして観ようかなという気になりました。
 もちろん、話題作であるルノワールの〈可愛いイレーヌ〉も、モネの〈睡蓮〉も思った通り素晴らしかったです。名作ぞろいの良い展覧会でした。