語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【震災】原発報道>古賀茂明の、新聞やテレビより週刊誌のほうがマシ

2011年11月02日 | 震災・原発事故
 日本がこれだけ重要な歴史的局面に立っているのに、既存メディアはまったくチェック機能を果たせていない。【須田】
 果たしていない。読売なんか、監査役に財務省の元次官が入ったくらいだから、果たせるわけがない。マスコミは権力をチェックするのが使命なのに、権力から天下りを受け入れて、自分たちをチェックしてもらおうというのだから、自殺行為だ。【古賀】
 読売新聞と日本テレビの政治部は、「脱原発を後押しするような報道はしない」という方針を持っているそうだ。実際、私にも日テレから出演依頼が来たことがあったが、すぐにキャンセルされた。【古賀】
 9月19日に東京・明治公園で行われた脱原発5万人集会について、読売は1行も書いていない。【須田】

 官僚にも「霞が関ムラ」があって、普段は縦割りで仕事をしていても、官僚としての利害を守るときには一致団結する。経産省がマスコミにいじめられていると見ると、ガードする側に立つ。そのへんの心理は理解できるとしても、問題は、マスコミまで「霞が関ムラ」の住民になっていることだ。【須田】
 特に経産クラブの記者は、官僚の嫌がる質問をほとんどしない。古賀の人事についても、誰も聞かなかった。今では記者クラブ以外からも会見に参加できるので、外部から来た人たちがいろいろ質問していたが、時事通信なんかのクラブ記者が「もっとまともな質問はないですか」と言って遮った。【古賀】

 こういう実態については、外国人の駐日大使館員なども「日本は偏向報道がひどい」と言っていた。外国の基準からしたら、政府の人間から見ても日本のマスコミはおかしいわけだ。【古賀】
 海外メディアの記者たちは、日本の原発報道に相当な不信感を持っている。特に、新聞とテレビについては、相当バカにしている。「週刊誌のほうがよほどまともだ。自分たちも週刊誌を参考にして、情報のウラを取って報道している」と。【古賀】

 大マスコミの問題点は、いろいろかねてから指摘されていた。3・11のインパクトが大きすぎて、ついにゴマカシが利かなくなったのだ。今回の震災では、日本が抱えるあらゆる問題点が浮き彫りになった。いずれも症状は深刻だが、ひとつずつ修正していくしかない。【須田】

 以上、対談:古賀茂明・須田慎一郎「原発再稼働! 原子力ムラ栄えて日本が滅ぶ」(「別冊宝島 原発の深い闇2」、宝島社、2011)に拠る。

 【所見】
 「週刊誌のほうがマシ」とは、海外メディアの意見だ。ただし、古賀茂明は異論を唱えていない。
 しかし、週刊誌の原発報道は、菅直人・前首相退任後、量が減った。そして、量は質に転化する。
 加賀乙彦は言った、「ブームの最上の定義はすぐ過ぎ去ることだ」。原発報道も、週刊誌においては、「ブーム」だったかもしれない。
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