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福田内閣は、6月24日に私が提出していた日体大「日本体育大学『宮嶋武広選手死亡事故』に関する質問主意書」への答弁書を閣議決定した。相当に分量があるが、質問と答弁を合わせて掲載したい。四月十八日の法務委員会で鳩山法務大臣は「保険金であるべきものを見舞金と称したり、あるいは場合によっては悲しい事件ですけれども、御本人、保険契約者が亡くなっていれば、その御遺族ということになりますが、当然そこでは交渉があり、保険金の判定がなされていく。間にいろいろなものが入ってそれがねじ曲げられていくのであれば、言語道断と言わざるを得ないというのが私の気持ちですね」と見解に「法務省として付け加えることはない」と閣議決定した事実は重い。

日本体育大学水泳部「宮嶋武広選手死亡事故」に関する質問主意書&答弁書

 二〇〇六年(平成十八年)、前途有望な二十歳の水泳選手が中国昆明における「高地トレーニング」中の事故により息を引き取った。私は、衆議院文部科学委員会、ならびに法務委員会において、宮嶋選手が急死する経過、ならびに背景、制度的問題点などを四回にわたって質問した。ご遺族である両親が、二月に日本体育大学と水泳部コーチを相手取って民事の損害賠償請求訴訟を起こしているが、本来は信頼関係が前提となっている保護者と大学の間で「事故死」をめぐって対立構造となっていることは、極めて残念なことである。
 宮嶋選手が北京オリンピック出場の可能性も期待されていたことを思うと、我が国のトップクラスのアスリートの指導・育成及び強化練習のあり方について一日も早く教訓を汲み取り、再発防止に努めなければならないことは言うまでもない。この間、国会での質疑で明らかになったことを踏まえて、このような悲劇を二度と生まないために政府に責任ある答弁を求めたい。

一、日本体育大学を運営するのは、学校法人日本体育会である。我が国のスポーツの発展・振興に寄与してきた伝統とスポーツの名門と言われた日本体育大学だが、日本体育会と同校の沿革はどのようなものであると政府は認識しているか。

(答弁)一について
 文部科学省としては、日本体育大学は、昭和二十四年に学校法人日本体育会の前身である財団法人日本体育会が設置する学校として認可され、学校法人日本体育会は、昭和二十六年に学校法人として認可され、それぞれ現在に至っているものと承知している。


二、日本体育大学が過去のオリンピックに送り出した選手は何名であるかと政府は認識しているか。また、これまでの金銀銅のメダルの取得数は総計でいくつだったか。

(答弁)二について
 文部科学省としては、個別の大学の学生によるオリンピック競技大会での活動実績等については、把握していない。

三、二〇〇六年に中国昆明で死亡した宮嶋選手は、オリンピックの出場を期待されていたと聞く。どのような選手だったと政府は認識しているのか。

(答弁)三について
 文部科学省としては、御指摘の選手については、平成十五年度の全国高等学校総合体育大会で優勝するなどの成績を残したものと承知している。


四、宮嶋選手が死亡した中国昆明は標高一九〇〇メートルの高地である。二年前の事故当時も日本から複数の水泳チームが強化練習に来ていたという。いったい水泳選手の「高地トレーニング」はいつ頃から始まったものであると政府は認識しているか。

(答弁)四について
 文部科学省としては、水泳における個別の練習方法が導入された経緯等については、承知していない。

五、水泳競技における高地トレーニングにおいて、「潜水」を繰り返すというのは危険極まりないとの指摘がある。宮嶋選手の死亡事故は、五〇メートル往復の潜水トレーニングの最中に起きたものだったと言われる。「練習メニュー」と「事故」の因果関係についての結論は司法判断を待つとしても、酸素濃度の薄い高地で無酸素運動を続けるこの種の練習メニューについて文部科学省は注意喚起をするべきではないか。

(答弁)五について
 文部科学省としては、御指摘の事故を踏まえて、平成二十年三月二十二日に開催された社団法人全国大学体育連合の総会や同年五月二十九日に開催された全国体育系大学学長・学部長会と文部科学省との懇談会において、高地トレーニングに関する注意喚起を行っているところである。

六、そもそも高地トレーニングにおいて、急激な体調の変化などによる事故(最悪は死亡事故)を回避するために指導者が留意すべき事柄とは何か。とりわけ水泳競技の場合に、その特質に鑑みて選手の健康管理についてどのような配慮が求められるものなのか。監督官庁である文部科学省の考える基本的事項を挙げられたい。

(答弁)六について
 文部科学省としては、高地トレーニングについて、お尋ねの「留意すべき事柄」としては、例えば、平成十四年に財団法人日本体育協会が作成・公表した資料にあるように、「休養の取り方に十分な配慮を行うこと」、「特に水分の補給、鉄分やビタミンEの摂取を心がけること」等の点であるものと承知している。


七、宮嶋選手の指導にあたったコーチは、高地トレーニングについて専門的知見と経験を有しているのか。しかも、「潜水メニュー」の実施については、開始するにあたって何らかの注意を選手たちにしているのかどうか。その指示は具体的にどのようなものだったのか、政府が把握している状況を説明されたい。

(答弁)七について
 文部科学省としては、個別の大学の水泳指導者がどのような経歴を有しているか、指導に際してどのような指示をしているかなどについて承知していない。

八、財団法人日本水泳連盟では、現在「高地トレーニング」についてのガイドラインを作成中だと聞いている。当初は、本年四月にも公表されると聞いていたが、現在まだ未公表である。宮嶋選手の事故のような最悪の悲劇を生まないためにも、連盟は公表を急ぐべきではないか。また、今日も高地トレーニングで記録の伸長をめざして水泳選手が日々鍛練につとめていることをふまえると、文部科学省としても連盟をうながして、ガイドラインの作成・公表を急ぐべきではないか。

九、一説には、このガイドラインの公表は、日本体育大学を訴えた宮嶋選手の御両親が提訴している民事訴訟によって、順延されているとも仄聞する。たしかに日本体育大学はスポーツ界に長年貢献してきた歴史と伝統ある学校だが、それでも一教育機関にすぎない。他方、日本全体の選手の生命・身体の安全を守るための「ガイドライン」は、かかる訴訟とは無関係に公表されるべきではないか。

(答弁)八及び九について
 財団法人日本水泳連盟によれば、御指摘のガイドラインについては、医学的視点等からの検討を進めるため、医師等の意見を詳しく聞くなどしているところであるとのことであり、文部科学省としては、当該ガイドラインが可能な限り早期に策定され、公表されるよう促しているところである。


十、文部科学省所管の財団法人日本国際教育支援協会が取り扱う学生教育研究災害傷害保険(略称 学研災)について質したい。日本体育大学の宮嶋選手は、この団体保険に加入していたか。加入していたのであれば、約款によると、「クラブ活動時の死亡事故」の場合、補償金額はいくらの契約となっているのか。

(答弁)十について
 文部科学省において財団法人日本国際教育支援協会(以下「協会」という。)から聴取したところによれば、御指摘の選手は、協会の学生教育研究災害傷害保険(以下「学研災」という。)に加入していたとのことである。また、文部科学省としては、大学に届け出た課外活動を行っている間に事故で死亡した場合における学研災の保険金は、一事故につき千万円が支払われることとなっているものと承知している。

十一、平成十八年度・十九年度に「クラブ活動時の死亡事故」について政府が把握する、この団体保険(学研災)から払いだされた事例を報告されたい。また、満額の保険金が支払われたのか、減額されていたのかもあわせて示されたい。

(答弁)十一について
 文部科学省において協会から聴取したところによれば、大学に届け出た課外活動を行っている間に事故で死亡した者について御指摘の期間中に学研災の保険金が支払われた例としては、御指摘の選手の事例を除けば、転落死、川や海での溺死、墜落死、滑落死、硬式球が頭部を直撃したことによる死亡等があり、すべて満額の保険金が支払われているとのことである。

十二、文部科学省は当初、宮嶋選手の死亡に関して「死亡事由が病死のためだということで、保険の適用は出来ない。しかし、大学側の折衝の結果として、御両親に対して保険金としてではありませんけれども、三〇〇万円の支払いがあった」(本年四月十一日法務委員会における答弁)と説明していた。しかし、一週間後に、「これは保険会社から保険金として両親に支払われたもの」(四月十八日法務委員会)と答弁を一八〇度変えている。私が質問を重ねたことで、日本体育大学が調査をし、よく確認したところ「保険金」との認識を初めてもったということだが、間違いないか。保険会社から「保険金としては払えない」という説明を受けていたのではないのか。

(答弁)十二について
 平成二十年四月十一日の衆議院法務委員会では、日本体育大学から聴取したところに基づき、文部科学省の政府参考人が保険金としてではないが御指摘の選手の両親に三百万円が支払われたとのことである旨を答弁した。
しかし、同月十八日の衆議院法務委員会における質問の通告を受け、文部科学省において改めて日本体育大学より詳細を聴取した結果、東京海上日動火災保険株式会社から御指摘の選手の両親に保険金として三百万円が支払われていることが判明したとの回答があったため、同委員会において文部科学省の政府参考人がその旨を答弁したものである。

十三、この団体保険(学研災)について、保険会社と受取人である遺族の了承を得ることなく「保険金の金額」を協議・合意する権限が日本体育大学に存在するのか。また「保険金は減額して三〇〇万円」と金額を決定する権限はあるのか。また、日本体育大学が「これは保険金ではないので、せめてもの気持ちです」と説明をしたことは虚偽説明にあたり、「実は保険金だった」とすれば保険会社との協議・交渉をする機会を奪ったことになる。このような行為は許されるのか。 また、文部科学省所管の財団法人は、文部科学省の信頼のもとに二八五万人の大学・短大の学生が加入しているこの団体保険の支払いにおいて、死亡事故の示談交渉は保険会社と当事者間でという原則を逸脱したことに関心を持つべきではないか。七%の手数料を公益法人として取得している意義は、こうした事態の解決のためにこそ発揮されるべきではないか。

(答弁)十三について
 文部科学省において協会から聴取したところによれば、学研災の保険金の支払いに係る協議等は、学研災の引受保険会社を代表する東京海上日動火災保険株式会社と保険金の受取人との間で行われており、御指摘の選手の件については、死亡保険金の受取人である選手の両親の承諾を得た上で保険金が支払われたものと認識しているとのことである。

十四、この団体保険(学研災)を取り扱っている損保会社は東京海上日動火災保険株式会社か。日本を代表する損保会社が、保険金の支払いをする時に受取人に通知しないということは通常ありえるのか。支払日から十カ月近くたってから受取人の問い合わせに対して、A4用紙一枚の通知書が届いている。文面は、以下の通り。
「一昨年の武広様のご不幸につきましてはご家族の皆様方のご無念いまだ癒されぬことと改めてお見舞い申し上げます。保険金支払い通知が届いていないことを本日のお電話で伺いましたので今更ながらですが、以下の通りお知らせ申し上げます。なお金額につきましては伺った事情を考慮して決定させていただいました。
お支払い額 三〇〇万円 口座名 着金日二〇〇七年四月二十三日 東京海上火災保険株式会社
本店損害サービス部 学校保険コーナー 担当者名 」

(答弁)十四について
文部科学省において協会から聴取したところによれば、学研災は、協会と東京海上日動火災保険株式会社等の複数の保険会社との間で締結された保険契約であるとのことである。
また、御指摘の「A四用紙一枚の通知書」が発送された経緯等については承知していない。
なお、金融庁としては、一般的には保険会社が保険金を支払うに当たっては、保険金の受取人等に通知しているものと認識している。

これは保険会社が受取人に差し出す「支払い通知」と同一の物なのか。社判も担当者印もない一枚の紙が十カ月後に「速達」で送られるのは通常の扱いではないのではないか。会社名も東京海上火災保険株式会社となっており、担当者の私的メモならまだしも正式な連絡なのか首を傾げるが、政府としての見解はどうか。

十五、宮嶋家への団体保険の支払いは、なぜ、満額ではなく、減額された三〇〇万円の保険金となったのか。保険会社は中国昆明の事故について、どのような調査を行ったと政府は認識しているのか。また、日本体育大学は保険会社に調査・判断に資する資料を提供したのか。

十六、改正保険法案の審議で判明したが、「クラブ活動時の死亡事故」についての団体保険の補償額の支払いにあたり、保険会社は「解剖」を必ずしも求めていない。事実、この団体保険(学研災)の他の支払い事例でも「川で溺死」「階段から転落死」など、内因性の疾患に起因する事故との疑いをさしはさむことが論理的にはありえる事故で満額支払われている例が並んでいる。本件のみが、なぜ減額がされたのか。「事故ではなく病気」と装う日本体育大学の主張に配慮したということか。政府の見解を示されたい。

(答弁)十五及び十六について
 金融庁としては、個別の保険契約に基づく保険金支払に係る具体的な経緯や内容等については、当事者間の個別事情に関する事柄であり、お答えすることは差し控えたい。
 なお、一般的には、保険会社が保険金の支払査定を行うに当たっては、事実関係の調査を行い、入手可能な様々な情報を基に総合的な判断を行っているものと認識している。


十七、四月十八日の法務委員会で鳩山法務大臣は「保険金であるべきものを見舞金と称したり、あるいは場合によっては悲しい事件ですけれども、御本人、保険契約者が亡くなっていれば、その御遺族ということになりますが、当然そこでは交渉があり、保険金の判定がなされていく。間にいろいろなものが入ってそれがねじ曲げられていくのであれば、言語道断と言わざるを得ないというのが私の気持ちですね」と見解を述べている。誠に理にかなった正論だが、法務省としてこの見解に何か付け加えることがあるか。

(答弁)十七について
 法務省としては、御指摘の答弁に付け加えることは特段ないものと認識している。

十八、事故当時に指導にあたっていた水泳部コーチは、日本体育大学スポーツ局のスポーツ専門職として「業務委託契約」を締結し、水泳部の学生指導にあたっていると聞いているが、間違いないか。政府に対して認識のあるこのコーチのように業務委託契約を締結しているスポーツ専門職は現在、日本体育大学に何名いるのか。これらの者が指導にあたるクラブはいくつあるのか。政府の認識を明らかにされたい。

(答弁)十八について
 文部科学省としては、個別の大学の水泳部の指導体制の詳細については、承知していない。

十九、日本体育大学の各種スポーツの部活動は、「本学独自の特徴を持つ家族的集団」(日体大ホームページ)として学友会という組織が統括し運営していると聞く。この学友会とは、いかなる組織なのか。政府の認識を明らかにされたい。また、この学友会と大学ならびに学校法人との関係を簡潔に整理すると、それぞれどのような役割を負っているのか。議論の前提として、確かめておきたい。そして、一般的に「日本体育大学」として、スポーツ指導上の管理・監督責任を負うのは、どの組織なのか。

(答弁)十九について
 文部科学省としては、御指摘の日本体育大学学友会について、その詳細を承知していないが、日本体育大学の活動については、当該大学の設置者である学校法人日本体育会が管理すべきものと考える。

二十、水泳部のコーチが実施する「指導計画、及び練習スケジュール、そして練習メニュー」の管理は、どこで行っているのか。それとも、コーチに一任されているのか。水泳部コーチが大学外で実施する例えば国内外の「合宿」などの事前届け出や指導内容の事前協議は行われるのか。また、実施にあたっての手続きはどうなっていると政府は認識しているのか。

二十一、 海外での強化練習合宿には、多額の自己負担分の費用が水泳部員にも発生するというが、本人・保護者に対して、これらの費用についての領収書は発行されなかったと聞いている。高額の金銭を預かるコーチに対して、水泳部長や監督は、会計上の混乱を回避するために監査し、共に責任を持つ体制で運営していたのかどうか。政府は把握しているか。

二十二、海外渡航にあたって、事故や病気にそなえるためには「旅行傷害保険」への加入が必要だが、日本体育大学水泳部では「旅行傷害保険」への加入を勧めていたのかどうか、政府は把握しているか。事故当時、宮嶋選手は加入していなかったと聞くが、以前から未加入だったとすれば指導・監督上の問題がなかったか。

(答弁)二十から二十二までについて
 文部科学省としては、個別の大学の水泳部の活動について、どのような手続の下で行われているか、どのような会計処理がなされているか、学生に対する保険加入の勧誘が行われているか否か等の詳細については、承知していない。


二十三、水泳部コーチは、財団法人日本体育協会の公認スポーツ指導者である。この指導者を対象として自身及び、指導中の他人に怪我・事故を起こすなどして損害賠償責任を問われた場合の負担を補償する総合保険が存在するが、同コーチは加入していたか、政府は把握しているか。また、この総合保険に加入していたとすれば、指導中に学生が事故死した場合の最大補償額はいくらか。また、水泳部長・監督は加入していたか。

(答弁)二十三について
 文部科学省としては、財団法人日本体育協会の公認スポーツ指導者を対象とした総合保険の保険金は、一事故につき一億円を限度として支払われるものと承知している。
  また、特定の個人が当該保険に加入しているか否かについては、お答えを差し控えたい。

二十四、学校法人日本体育会とコーチは、契約書を締結している。この契約書に付帯して、日本私立学校振興・共済事業団加入手続きの通知が存在する。文部科学省によると水泳部コーチは共済に加入していないということだが、過去三年間、日本体育大学が契約していたコーチは何人が共済に加入していたのか。また加入していなかったコーチは何人か。加入・未加入と分けられた条件は何か。現在、共済に加入中のコーチはいるのか。いないとすれば、なぜか。

(答弁)二十四について
 文部科学省としては、個別の大学のスポーツの指導者が私立学校教職員共済制度に加入しているか否かについては、承知していない。


二十五、運動部の指導にあたるコーチでも、私学共済に加入できない類型の勤務形態は存在するのか。

(答弁)二十五について
 私立学校教職員共済法(昭和二十八年法律第二百四十五号)第十四条第一項においては、原則として、学校法人等に使用され、当該学校法人等から給与を受ける者を私立学校教職員共済制度の加入者とすることとされているが、船員保険の被保険者、専任でない者、臨時に使用される者及び常時勤務に服しない者については、同制度の加入者とはしないこととされている。


二十六、日本体育大学保護者会は、近年五〇万円の慶弔費を予算計上している。学生の死亡時に同保護者会は通常はいくらの慶弔費を支出しているのか。また、二〇〇六年には本件、宮嶋選手死亡事故にあたって一〇〇〇万円の弔慰金を支払っている。慶弔費と弔慰金はどのように違うのか。文部科学省は支払い基準を調査結果に基づき明らかにされたい。

(答弁)二十六について
 文部科学省としては、御指摘の日本体育大学保護者会における慶弔費と弔慰金の違い等については、承知していない。


二十七、支出された一〇〇〇万円の弔慰金は、保護者会から学友会に支払われたものと国会質疑で明らかになった。この支出はそれぞれ何に使用されたのか。政府の把握する明細を示されたい。

(答弁)二十七について
 文部科学省において日本体育大学から聴取したところによれば、日本体育大学保護者会から日本体育大学学友会に支出された千万円の内訳は、遺族等の中国への渡航等の費用が百七十七万七千七百十三円、葬儀費用が五百九十三万九百四十二円、追悼文集作成の費用が七十万円、遺族に支払った四十九日のお見舞い金が百万円、法要に参加する際の学生の交通費等が十二万六千二百二十円であり、四十六万五千百二十五円については日本体育大学学友会から日本体育大学保護者会に返還されたとのことである。


二十八、この保護者会から拠出された一〇〇〇万円は、学友会を通して葬儀費用等に使われたが、学校法人 日本体育会として出費したものと言えるのか。言えないとすると、宮嶋選手の死亡事故に関して法人として支出した費用は総額いくらか。おおよその内訳も示されたい。

(答弁)二十八について
 文部科学省としては、御指摘の選手の死亡事故に関して、学校法人日本体育会が支出した費用の性格並びに総額及びその内訳については、承知していない。

二十九、日本体育大学運動部において起った事件のなかで、日本スポーツ仲裁機構の第一号事件として注目され、報道されたウエイトリフティング部の事件がある。この事件は仲裁機構の裁定があった後、その裁定に従って解決しているのか、政府で把握している実情を説明されたい。

(答弁)二十九について
 御指摘の件が、日本体育大学のウエイトリフティング部のコーチであった者に対して、財団法人日本ウエイトリフティング協会が「平成十五年三月二十三日をもって本協会の登録から除籍する。平成十五年三月二十三日から平成十五年九月二十二日までの間、本協会への登録を拒否する」との処分を行ったと報じられた案件であるとすれば、その件は、スポーツ仲裁機構に対して当該処分取消しの申立てがなされ、同年八月四日に同機構が当該申立てに沿った仲裁判断を下し、同協会は同月八日付けで当該仲裁判断に従って当該処分を取り消したものと承知している。


三十、数々の業績をあげてきた指導者が現場を外された理由に、クラブ活動をめぐる不透明な金銭処理についての告発が契機になっていると聞く。日本体育大学の運動部の輝かしい実績とは裏腹に、およそ他の大学では考えられないルーズな指導実態が指摘されるのはまことに残念なことだが、改革の芽は存在するのか。大学内でも物事の透明化と説明責任について意識改革をしようという議論は存在したと聞くが、政府の把握する現状はどうなのか。

(答弁)三十について
 文部科学省において、日本体育大学から聴取したところによれば、同大学の学長は、大学組織の透明化と説明責任の徹底に取り組んでいるとのことである。


右、質問する。




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