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「政権交代選挙」から1年、両者の正面衝突となった民主党代表選挙が終わった。1年前の今日、9月16日は自民党麻生内閣が退陣して、鳩山内閣が発足した日である。さっそく、「八ッ場ダムの中止」が話題を呼び、世間の関心を集めていたことを覚えている人も多いだろう。年末には「普天間」が政治テーマに急浮上し、鳩山内閣は対処に往生したあげく、社民党の政権離脱もあり、6月に引責退陣して短命内閣となった。

 まるで1年というさして長くない時間が嘘のように「昔の話」にも見える。続投が決まった菅総理は、「鳩山退陣」以降は棚上げをしてきた「普天間問題」を、このままずっと先送りにするわけにはいかないだろう。8月には「V字」「I字」の両案併記のまま報告書が示されたが、実質は「自民党時代の現行案=V字案」を既定方針としている。また、名護市議会議員選挙で「辺野古移設推進派」が躍進することを期待する声も官邸内にあったが、9月12日の結果は「移設反対派」16人当選(28議席中)という圧勝となった。

 仲井真沖縄県知事は、自民党などの県議会与党から出馬表明にあたって「県外移設を明言してはどうか」との提案を受けていて、沖縄現地「辺野古新基地容認」の流れは途絶えつつあると言っていい。11月18日投票の沖縄県知事選挙も、すべての候補が「辺野古移転反対」で並ぶ可能性もある。すでに立候補した伊波洋一宜野湾市長が勝った場合はもちろんだが、仲井真氏が仮に勝った場合でも手の平を返したように「基地建設容認」というわけにはいかなくなる。しかも、日米双方は、これまで沖縄現地の反発を考慮して封印してきた「MV22オスプレイ」の配備を公然と言い出している。

 基地受け入れに反対する自治体に「予算凍結」で報復するという懲罰型手法を編み出したのが守屋元防衛事務次官だったが、菅政権でも「姿勢の転換」は見られない。辺野古基地建設について自民党政権と、何ひとつ変わらない姿勢は「鳩山退陣」によって純化されたとさえ言える。この点で、日米間での仕切り直しを求める沖縄の世論は、市民派首相より「保守の剛腕」に期待をかけた。

 菅対小沢の一騎討ちの構図は、共感する点と危惧を覚える点が交錯した。うなずける点と受け入れ難い点とが、まだら模様だった。外交・安保では、「普天間問題」を中心に菅総理は、「従前の枠」から出ようとしていない。他方で、巨大な公共事業にかかわる既得権益を問題にしてきたり、格差・雇用問題の是正について議論する場には、野党時代、はるかに菅氏と連携することが多かった。

 昨日にでも新閣僚の体制が固まるのかと思っていたが、今度の代表選挙を経て、何が問われ変わるのかは「人事」で明らかになるものなので、その発表を待ちたいと思う。菅政権は、これまでの待ちの姿勢を改めて、「沖縄・普天間」をめぐる外務省・防衛省の硬直した選択から脱出すべきだと強く願う。そうしないと、沖縄-本土の亀裂はますます大きくなる。



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