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本日、国会議員会館内で「共謀罪に反対する院内集会」が開かれた。あわただしい時期なので、短時間しかいられなかったが事態は緊迫に向かっていると考えてよいだろう。このブログでも書いているように、2月14日与党は民主党に対して修正案を提示している。その直後に起きた「メール騒動」で国会の空気は一変している。自民党国会対策委員会は強気で、この通常国会の入口で共謀罪を成立させていこうとの方針であることは明らかだ。

「明日、『裁判所職員定員法改正案』の審議・採決があり、14日には『犯罪者予防更生法改正案』『執行猶予者保護者法改正案』の審議・採決が決まった。その次に与党は民主党に対して修正協議を急いで、審議入りを急ごうとしている。今月半ばから緊迫した攻防が始まる」と私は報告した。日弁連として共謀罪に反対する弁護士からは「与党は、修正案に対しての民主党の対応がどうあれ、3月20日の週に審議入りし月末には成立させるというシナリオで動いている。その通りにいくとは限らないが」と報告があった。

民主党が与党修正案の協議を始めるという話はない。「とてものめるものではない」と聞いている。智恵をしぼり、また世論を興して、これほどの短期間に刑法体系を全面的に変更するような共謀罪を成立させていいのかと情報発信・呼びかけを強めていきたい。集会やシンポジウムも大事だが、この瞬間はメディアの役割が大きい。成立直前ないし事後に「こんなに問題点がありました」という報道しか流れないのだとしたら、メディアが権力を監視するという役割を放棄したことになるだろう。

今日は、法務省入管局から入国手続時の外国人に対する指紋採取のヒアリングを行った。16歳以上の外国人に入国時に指紋を採取して、テロリストの入国を阻止するということだが、現在のところ同様のチェックを行っているのは、アメリカだけ。法務省は、「上陸拒否事由該当者」をあらかじめホストコンビューターに登録して水際で入国阻止をはかるという。とすれば、アメリカなどから提供される指紋情報とのリンクはあるのか。また、「要注意人物リスト」などが際限なく入力されていき、理由を告げずに入国拒否などを行う事態にはならないのか。だいたい、誰がその指紋情報入力の可否をコントロールするのか、疑問がつのる。

今回の指紋採取は、かつて外国人登録に指紋採取を受けていた永住者には適用されないというものの気になることを聞いた。「自動化ゲート」(パスポートにスタンプを押さない自動改札機のような機械)を通過して、スムーズに入国(帰国)手続きを終えたい人は、あらかじめ入管で指紋を登録してもらうというもので、これは長蛇の列を回避しスムーズなゲート通過を希望する日本人にも同様に登録できるものとするそうだ。道路公団と国土交通省がしゃにむに導入を進めたETCのような便利だけれど、ログが残り監視も容易なシステムも生まれようとしている。

すでに、旅券法改正でICパスポートが発行されるようになり、顔写真のディジタル情報がICチップに埋め込まれ、コンピュータに記録されるシステムが動き出そうとしている。監視カメラだらけの街で、「顔認証システム」の国土交通省の実験が始まるなど「テロ対策」の名で急激な監視社会化がすすんでいるが、官公庁や捜査機関からの重要情報がどんどん流出している今日、最悪の場合は犯罪組織への情報流出さえ絶対ないとは言えない。手のひらの上に1億人の個人情報が乗る時代に、本当の意味でのプライバシー保護がされずに官僚たちがそれそれに手を伸ばしていていいのだろうか。「テロリスト」と事実誤認されたり、人違いで「要注意人物」に登録されたりしても、異議申し立ての方法はない。

盗聴法の時代から7年。プライバシークライシスは、この社会の全方向で起きつつある。




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