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「61億円の架空入札価格」はこうしてつくられた
かんぽの宿・郵政民営化
/
2009年02月11日
(2月5日 民主党・社民党・国民新党「かんぽの宿疑惑追及チーム」結成)
気がついたら『どこどこ日記』の連日の記事が「かんぽの宿一括売却問題」となっている。あまりに多いので、今日は「かんぽの宿・郵政民営化」というカテゴリーにまとめておいた。それにしても、政治の場での「真相究明」の作業にブログが新たな手段として機能し始めている。TBを受けた記事は極力読んでいるのでよろしくお願いします。
さて、今朝はテレビをつけたら竹中平蔵らしき人が画面に現れて、「国会で社長を呼ぶなんて業務妨害だ」などと息巻いていた。日本郵政のオリックスへの一括売却問題の形勢が悪化してきたので、「問題ありません。これが改革です」とPRしようということなのか。05年の郵政選挙の甘い記憶がそうさせるのか、あまりに苛立ち焦っているように見えたので、その理由を聞きたくなった。
日本郵政の「競争入札」のインチキぶりは、すでに日本郵政自身が「自白」しているのである。最終入札締め切り後に物件を変更したり、「架空の入札額を創作」した段階ですでにアウトなのだ。そのことを日本郵政が説明した資料をみると疑問だらけになる。2月9日に日本郵政が記者配布した資料を見てみよう。
「かんぽの宿等」事業の譲渡について(日本郵政)
平成20年10月31日に第2次提案のあったオリックス不動産とB社に対し、11月20日に次の点を申し入れた。
①世田谷レクセンターを譲渡対象から外すこと
②それ以外の譲渡価格を下げること
オリックス不動産からは平成20年12月3日に新たな提示あり。B社には重ねて申し入れを行ったが、新たな提示なし。
B社については、平成20年10月31日時点の提案をもとに、世田谷レクセンターの評価額を差し引く等、オリックス不動産による新提示と前提条件を整え、両者を比較。
オリックス不動産(平成20年10月31日)
事業評価額 125億円
(宿泊事業) 101億4000万円
(世田谷レクセンター) 23億6000万円
負債の引き継ぎ ▲19億7800万円
株式価値 105億2200万円
↓
平成20年12月3日
事業評価額 119億4000万円
(宿泊事業) 119億4000万円
(世田谷レクセンター) 0円
負債の引き継ぎ ▲10億5400万円
株式価値 108億8860万円
B社(平成20年10月31日)
事業評価額 105億5000万円
(宿泊事業) 74億円
(世田谷レクセンター) 43億5000万円
その他の費用 ▲ 12億円
株式価値 105億5500万円
↓
オリックス不動産と前提条件(負債の引き継ぎ)を揃えた場合
事業評価額 105億5000万円
(宿泊事業) 74億円
(世田谷レクセンター) 43億5000万円
その他の費用 ▲ 12億円
負債の引き継ぎ ▲ 19億7800万円
株式価値 85億7200万円
↓
(平成20年12月3日)
オリックス不動産と前提条件(負債の引き継ぎ)を揃えた場合
事業評価額 72億円
(宿泊事業) 74億円
(世田谷レクセンター) 0円
その他の費用 ▲ 2億円
負債の引き継ぎ ▲ 10億5400万円
株式価値 61億4600万円
世田谷レクセンターにオリックス不動産は23億6000万円の価格しかつけず、他方のB社は43億5000万円という価格をつけている。この日本郵政の説明資料をながめているとたくさんの謎がある。
①なぜ、世田谷レクセンターを外したのにわずかだがオリックス不動産の評価額があがったのか。
②なぜ33日(10月31日→12月3日)で負債額が圧縮したのか。
③B社がマイナス勘定にしている「その他の費用」とは何か。また「その他の費用」を33日後に12億円から2億円に減少させた日本郵政の試算の根拠は何か。
実は他にもいくつかあるが、最後のB社の「61億4600万円」は日本郵政によって創作された数字である。これが、1年間で1億2千万円をメリルリンチに支払い、また成功報酬6億円の譲渡交渉の最終場面かと思うと、首を傾げざるをえない。今週末か来週始めには、この不思議な数字の謎解きも果たされるに違いない。
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