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  私は2010年からツイッターを始めた。長年続けてきたブログから、最近では比重をツイッターでのつぶやきに移している。「今、停電になっています」という書き込みを見て、担当者に紹介してみると「5分ほど前から原因不明の停電になっています」と報告がある。担当者にしてみれば、たった今の停電について私が知っているのも、不思議なことだろう。SNS (ソーシャルネットワーキングサービス)は、私たちの社会を劇的に変えている。便利さだけではなくて、失敗の影響の大きさも考えつつ私は積極的に活用している。

「子どもが外で遊ぶ声がうるさい」という苦情が続いて、保育園の子どもたちが園庭に出る時間が午前中だけと制約されている。他の保育園では苦情を言い立てる人と園の間に「防音壁」をつくるということ真剣に検討している…。保育園や幼稚園の関係者にとっては、毎度おなじみの話題かもしれないが、初めて聞いた私は驚いた。

 子どもの声は「騒音」で「迷惑音源」だとして、日常生活から遮断したいという苦情が、地域の多数ではないけれど、ひとりもしくはふたりの苦情が、子どもの居場所である保育園や幼稚園の運営に深刻な影響を与える。子どもが遊びながら声をあげ、笑い、また時に泣くことは自然の摂理である。その子らの口をふさいだり、外に出ることを禁止するということが「苦情」との対応で起きていることをどう考えたらいいのか。

 このようにツイッターでつぶやくと、次々と私あてに意見が帰ってくる。リツイートといって、自分のフォロワーに「拡散」する人も続々出てくる。この話題では2000人を超える人がリツイートをした。数十万人の間に、一挙に話題が共有されたようだ。「子どもの遊ぶ声がうるさい」という苦情は、都市部では以前から存在していて、保育園や幼稚園の関係者は苦情対策に長年心を砕いてきたということも改めてわかった。

私はツイッター上で展開されている議論を、実際に場を設けて行いたいと計画を立てた。いわゆるツイッター・オフ会である。20129月22日に、開催した「教育・子育て」をテーマとしたオフ会には、約40名の子育て世代を中心とした人が集まってくれた。世田谷区民が多かったが、区外からの参加もあった。

この話題で私が何十回とツイートしていることを読んで反応している人たちだから、反応が早い。「子どもの声が問題なのではなくて、子どもの声を騒音ととらえて苦情を言う人の側の問題」「行政も苦情が出たからと言って、防音壁等すぐに対処策を打ち出すのは、問題をかえって見えなくさせてしまう」「苦情を言う人が、自分自身の存在を尊重されていないという意識があるのではないか」「コミュニティの力で包み込んでいくようなやり方が出来るといい」「聴覚過敏症という症状の人もいるからよく状態を見た方がいい」等の意見が次々と出た。

さらには、保育園や幼稚園だけではない。小学校や中学の合唱がうるさいと怒鳴り込んでくる場合もあるし、「ファイト、ファイト」という部活の掛け声がうるさいという近所からの苦情で、黙って走ることにした部活の話等も出てきた。私は、「子どもが遊ぶ時に声を出すのは自然で、自由に遊ぶひとときを確保することは子ども成長・発達にとって欠かすことの出来ない権利。同時に静穏に暮らしたいという権利もあって、その調整をはからなければならない」として、日常の中に潜んでいく「子どもの声と苦情の関係」について、これから大きく問題提起していきたいと述べた。

「子どもの声」を拒絶したいという孤立した高齢者の「苦情」と向き合う。まさに、崩れつつある地域コミュニティを再生していく仕事の一歩だ。壊れた関係を修復するためには、新しい関係を構築して挑まなければならない。それは、伝統的な地域共同体に回帰するのではなくて、新たな人間関係を作り直すことから始まる。

 ツイッターという伝統的な地域の人間関係や世代を超えた議論の場で接点を持った人たちが、「地域コミュニティ」の再構築をテーマに語り合う。これも、時代とツールが生んだ「新しい議論の場」だ。「顔と顔の見える地域の関係」を大事にしながらも、そこでは言えない本音の一言を語ることの出来る場から聞こえてくる声にも、耳を傾けていきたい。

 



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