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 9月25日午後1時、世田谷区長定例記者会見を行った。2週間に1度の頻度にもかかわらず、多くの記者が来てくれている。また、発表したことは何らかの形でほぼ毎回、記事やニュースになっており、情報発信として重要だと考えている。UST中継・アーカイブでも視聴出来る。テキストがまとまって世田谷区ホームページに掲載されたので、ここに転載することにしたい。

[9月25日世田谷区長定例記者会見]

皆さんこんにちは。

まず、「災害時区民行動マニュアルの全戸配布」についてです。

9月1日の防災の日を起点にして、世田谷の災害時区民行動マニュアルと世田谷区防災マップを作りました。以前から作ってあったのですが、車座集会での地域住民の皆さんの声の中で、避難所はどこにあるのかという声が大変多いので、避難所は色分けをして見やすくしました。また、火災を避けるには緑色に色分けされている公園に行ってくださいということなどをご案内しています。これは、一軒一軒の家のポストに投函する形で配布しています。

また、このマニュアルの特徴としては、地震はどうやって起こるのかという地震発生のメカニズムや東日本大震災によって明らかになった高層階の揺れへの対策、あるいは、3月11日に区にも問い合わせが大変多かった、ガスが自動的に止まった時の復旧方法、これはやってみれば簡単ですが、高齢者の方にはなかなかわかりにくいということで加えているほか、交通規制の図などもコンパクトにまとめています。また、転入者の方にお渡しするせたがや便利帳にさらに詳しいマニュアルもつけてあります。

 続いて、自然エネルギー関係です。

9月10日に「自然エネルギー活用促進地域フォーラム」を北沢タウンホールで行いました。世田谷区の町会、商店街連合会、工業関係、農協、生協、金融機関、大学、NPOなど、また、今回は建設関係、省エネリフォームなどに関心をもつ方々も含め、24団体31人という大変大勢の方にご参加いただきました。

今回のフォーラムでは、後ほど報告する太陽光パネルの一挙的普及事業が軌道にのってきたこともあり、太陽光ではなく太陽熱発電にはどういう特徴があるのか、効率がいいのかなど、さまざまな特性を社団法人ソーラーシステム振興協会の方に、また、東京都から集合住宅での太陽光や太陽熱発電の助成制度についてお話しいただき、その後、各団体の活動報告ということで、例えば昭和女子大から太陽光パネルをこれだけつけたという報告や、生協から電力の自由化に向けて共同購入というようなことができないだろうか、そういう議論をどのように進めていくつもりなのかとの問題提起があったり、かなり活発な意見交換が行われました。

 こういったこともあり、9月18日に、2月に続いて2回目となりますが、枝野経済産業大臣に電力システム改革について要請をしました。2月に一般家庭も含めた電力の小売自由化を早く実現してほしいと求めていますが、7月に経済産業省資源エネルギー庁にある電力供給システム改革専門委員会が答申を出し、一般家庭の電力自由化を実施するということで、方向性が明確になりました。

 世田谷区役所では既にPPSを導入しています。これは、大口の事業者だからできているわけで、戸建やマンションといった一般のご家庭で電力を選ぶことができるようになるのが数年後という見通しですが、それに先駆けて、世田谷区で先行実施ということで是非やらせてほしいと話しました。

 また、区内には、現在の電力料金よりも多少値段が上がってもグリーン電力を購入したいという人もいます。また、当然その事業用のPPSを一般の戸建の家庭に広げるということになれば、一方では、家庭用電気料金より安いという価格体系でメリットがあり、さまざまな市民事業体や企業や人々がこういった取組みを待っているということで、枝野大臣は経済産業省の政策としても、電力の一般家庭の自由化は決めているので、自治体からそのような声があがるのは嬉しい、むしろ自治体に知恵を出し工夫していただいて、電力自由化のモデルケースとしてやろうとした時に、何が障害で何が難しいのかということを一つ一つお互い事務方で詰めて解決していこうというお答えがありました。

 また、そういったことは世田谷区だけでなく、いくつかの自治体でテストしてもいいですねという話もあり、そのためには総合特区なのか特例措置なのか、法律で縛っている部分を少し緩めてもらわないとこの先行実施はできないので、それも是非お願いしたいということを申し上げてきました。

 次に、「区制80周年記念事業」についてです。

 いよいよ10月7日に区制80周年の催しを行います。先の世田谷区議会で、日野原重明さんと仲代達矢さんのお二人を名誉区民とすることにご同意いただいたので、正式にお二人を名誉区民として顕彰し、また、区政功労者を表彰します。さらに、午後には、中村八大さんが珍しくマイクを握ってレコーディングをしている「太陽と土と水を」という曲が、今日の先が見えない時代、「太陽と土と水を」を子どもたちとともに歌っている八大さんの歌にヒントを得て、この歌を世田谷区民合唱団やジュニア合唱団などが、ソノダバンド、ざ・五人囃子というプロの方も含めて歌う記念コンサートも行います。是非、その歌から伝わってくるイメージをもとに、次の世田谷区政の20年後、30年後をつくっていけたらと思います。

 もう一つ、「世田谷いのちの森づくり植樹祭」についてです。

  9月9日に現在整備中の(仮称)二子玉川公園の一角で、大規模な植林をしました。「世田谷いのちの森づくり植樹祭」という形で実施したわけですが、これには大きな反響があり、20年後の区制100周年の時に、うまくいくと植えた苗木が大体20メートルの森になるということで、40種類ものさまざまな苗木が用意されました。猛烈な暑さの中、参加してくれた区民がなんと750人もいて、親子750人がそれぞれタブノキやアカガシやスダジイなどの木を植えました。このことで、20年後に森になっていくとともに、世田谷みどり33という、20年後の区制100周年にみどり率を33%という数字にもっていこうという政策も進めているので、今後とも進めていきたいと思います。

 挨拶の最後に、「住民票不記載処分取り消し等請求判決」について申し述べます。

  明後日27日に、世田谷区に住民票作成を義務付けることを求めた裁判の控訴審判決が東京高裁で予定されています。この裁判は、婚姻によらず事実婚のご夫婦の方に生まれたお子さんの出生届に、当時、非嫡出子と記載するのは婚外子差別にあたるということで、記載しないという形での原告の出生届が受理されず、その結果、住民票が作成されていないということで不利益を受けていると、世田谷区に住民票作成義務を求めているという内容です。

 4月の東京地裁判決は、世田谷区に住民票作成義務はないというもので、私としては控訴審判決も同様の内容で維持されるものと予想しています。しかし、一方で、既に当該児童は7歳、小学校2年生になっていると聞いています。現在および将来の児童の人権に配慮すると、一刻も早い事態の解決が必要であるという認識を持っています。

 明後日の判決は一審判決が維持されるものと予想していますが、その判決を経てなお、当該児童の両親が出生届を提出しないということが明白であれば、児童の現在および将来の人権に配慮する立場から、私の判断に基づくなんらかの対応を行わなければいけない、そういう地点に来ていると認識しています。関係機関と協議の上、この場合の可能性、方法について、担当者に検討を急がせているところです。いずれにしても、明後日の判決、司法判断を見守り、区の姿勢をなるべく速やかに明らかにしたいと考えています。

 次に、「在宅人工呼吸器使用者の災害時の個別支援計画の作成」についてです。

  在宅で人工呼吸器をつけて生活している方が、世田谷区内に今、89人いらっしゃるそうです。昨年、都内で計画停電がありました。また、東日本大震災でも人工呼吸器をつけた方が被災したと聞いています。いざという時の電源喪失で命の危険があるこの人工呼吸器をつけた方たちがどうやって救命されるのか、呼吸が止まってしまえば5分もしないで息をし続けることができなくなるので、大変深刻だといえます。

 東京都では、本年3月に「在宅人工呼吸器使用者災害時支援指針」をまとめています。世田谷区では、東京都の指針をもとに一覧表を作成して、保健師の方が中心となって、かかりつけ医、訪問看護ステーションなどの関係者の協力により、人工呼吸器をつけている方一人ひとりの情報を集約します。そして、区の保健師と患者さん自身、家族、近隣の方々、災害発生時の協力体制などについてあらかじめ一人ひとりのシートをつくり、支援計画をつくっていくという内容です。

 こういった形で実践に移すのは世田谷区が初めてだと聞いていますし、10月から、人工呼吸器を使用しているすべての方の支援計画、具体的にはこのシートの記載項目が埋まっていくことになるので、こういった取組みを経て、万が一の大きな災害で電源喪失となった時に、災害時に大変困難な状況に置かれる人工呼吸器をつけている方をどのように救命していくのかについての基礎情報をこちらのシート作成という形で埋めていきたいと考えています。10月から始めて、年度内に全員の支援計画を作成し終えるということで準備しています。

 続いて、「せたがやソーラーさんさんプランの平成24年度最終募集」についてです。

  7月1日からホームページを立ち上げ、7月中旬に募集を開始した、太陽光発電システムを世田谷区サービス公社が大量に発注して1000軒という目標で区内に広げていこうというプロジェクトの第一次募集の結果がまとまりました。1650件の問い合わせがあり、その中で531件の見積もり申込があったと聞いています。大変反響があったと言っていいと思いますが、これを受け、第2次ということで、10月1日から31日までの一か月間で500戸を目標に今年度の最終募集をするという内容です。このプランで成約、合意をいただいても、資源エネルギー庁に対する手続きや電力会社への手続き、さらには東京都と国の補助金が手厚くついているので、そういった補助金の申込手続きにかかる時間などを逆算すると、だいたい4ヵ月半から5ヶ月かかるということなので、10月末くらいが今年度のそういったフレームにはまる最後のタイミングになると思います。

 今、区内に12万戸の家屋がありますが、このプロジェクトが始める前に確認したところ、1850軒にソーラーパネルがついているということでした。このプロジェクトで、仮に募集1000軒すべてにソーラーパネルがついたとしても、まだ2000、3000軒台ですから、まだまだそういう意味では屋根の広がりはありますが、こういった形で一挙的な集中的普及ということで、区民の方にも大きく関心をもっていただいたということのご報告もそえて、是非この第2次募集もあるということで報道していただければと思います。

 最後に、「夏季休業後の子ども電話相談の結果」についてです。

 夏休み明けの9月3日から9日までの1週間、例年、子どもたちがいじめを苦にして亡くなっていくといういじめ自殺が多くあります。こうしたことがあって、世田谷区と教育委員会では、既にせたがや子どもテレフォンや教育相談室電話相談などを行ってきましたが、チャイルドライン、これは世田谷区で生まれた民間の電話で子どもの声を聞くプロジェクトですが、こちらが「せたがやチャイルドラインいじめ専用電話」ということで実施したところ、71件の電話があり、そのうち15件ほどがいじめについての内容だったという報告がきています。

  それらの内容をこのチャイルドラインで分析、報告をまとめてもらいながら、同時に、前回の記者会見で発表した子どもの人権擁護機関ということで、困ったときに子どもあるいは親子で、子どもの立場に立って相談に応じてもらえる、また、助言なり問題解決の一助になってくれるような、子どもの命を守る機関の構築を、こういった子どもたちの生の声も大いに参考にしながら急いでいきたいと思います。

 先日、江川紹子さんと、自殺対策支援センターライフリンクというNPOの清水康之さん、全国のチャイルドラインの方々、ニコニコ動画の方などが来て、十代の子どもたち、小中学生に届くように「死んじゃいけないよ」とか「いじめにあったときにこういうやり方があるよ」と伝えるキャンペーンをやっていきたいので、なんらかの形で協力してくれないかという申し入れがありました。なんらかの形というのはまだ定かではないのですが、思いとしては、いじめ問題が大きく報道されて世の中の注目を浴びる時期というのは残念ながらいつも短いのですが、その波が去った後もいじめは残るので、子どもたちにとって頼りになるさまざまなとっかかりをなるべく多様な方々の力も得て残していきたいと思います。

次回の記者会見は、10月19日(金曜日)を予定しています。

[終了]

 



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