事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

明細書を見ろ!2019年扶養確認号

2019-07-09 | 明細書を見ろ!(事務だより)

わたしは読売新聞にはいいたいことがたーくさんありますが、一面のコラム「編集手帳」の文章芸と、くらし欄の「人生案内」だけは文句のつけようがない。出久根達郎や最相葉月が、相談者を一刀両断にする切れ味は、他の人生相談ではなかなか味わえない。そんな人生案内に、先日こんな相談が寄せられました。

30代女性会社員。専業主婦の存在に憤りを感じ、身近な友人や義理の母に嫌悪感を抱いています。

私は努力して国家資格を取得し、正社員になりました。夫に頼らなくても暮らしを守れるように経済的自立を果たしています。料理は週末にまとめて作って冷凍するなど、生活も工夫しています。

その一方、夫が会社員だというだけで、国民健康保険料や国民年金保険料を払いもせず、平然と生きている女性が許せません。多額の納税もせず、生活の工夫もしていないからです。今は女性が結婚後も働くことは、一般的で、生活を守るためにみんな必死に努力しているはずです。

しかし、このように考えていると自分の心が穏やかではなくなってしまい、苦しいのです。どのように考えれば、専業主婦に対して寛容になれるのでしょう。(千葉・K子)

……わたしが勝手に回答します。

K子さん、あなたの怒りはもっともです。わたしの妻も第3号被保険者だから、保険料を払わないままで年金を受け取ろうとしています。共済組合の被扶養者だから健康保険の負担もない。不公平だ。ずるい……とあなたには見えるんでしょう。しかしこの不公平撲滅志向は、だったら会社員であるあなたの保険料だってほぼ半分は雇用主が支払ってるじゃないか、それにくらべてフリーランスは、という不毛な比較に陥ってしまいます。

いちばんの問題は、“自分はこんなにがんばっているのに”というあなたの考え方、感じ方なんだと思います。まわりからそのことをきちんと評価さえされていれば、職業人としての喜びをもとに、専業主婦にはない充足感があるはず。でもこころのなかでどうしても専業主婦が許せないのは、自分が認められていないというあせりがあるのではありませんか?

前世紀末あたりから、この国はどんどん不寛容になっています。老人は若者に切れ、客は店員に切れ、社会的弱者への援助は攻撃の的です。自分よりも恵まれている人、あるいは自分よりも支援をうけている人への怨嗟の声は街にあふれています。なんとさみしい世の中になったものか。

K子さん、まずは自分で自分を認めましょうよ。確かにあなたはがんばっている。しかし専業主婦が三食昼寝付きののんきな存在ではないことくらい、少し考えればわかるはずですよ。

今回は扶養手当を受給しているか、共済組合の被扶養者がいる人にだけお届けする恒例の号外。

目的はシンプルで、対象の収入が扶養の条件である

・年額130万円を下回っているか

・給与の場合は、月額108,300円を下回っているか

例外はあるものの(障害年金や60才以上の年金受給者など)このふたつを常に意識してください。税金の場合は、また別なのでややこしいんですけど。

相談にあったように、“扶養”というものへの世間の目は次第次第に厳しいものになっており、そのために配偶者の扶養手当は減り続ける一方です。同じ仕事をしているなら同じ給料でなければならないはずだ、という考え方が次第に浸透していますから。

妻を扶養している人間が言うと反感をかいそうですが、つくづくと思います。やな渡世だなあ

……またしても気合いの入らない話になってしまいましたが、提出書類一覧表をもとに、7月25日(木)まで、このハーフブラインドフォルダにはさんだまま事務室に提出してください。県中総体の生徒休業日など、例によってこの書類をとるためにあると断言しても過言ではありません(過言です)。

画像は「逃げるは恥だが役に立つ」(2016 TBS)

就活に疲れ果てた未婚女性(新垣結衣)は、なんと家事代行の雇い主(星野源)に契約結婚を申し出る。ここで学校事務職員として爆笑したのが、星野源がその契約を徹底的に研究し、配偶者を扶養する選択はありだと結論づけるあたりでした。よく考えれば(考えなくても)危ない話ですが、こういう小ネタがしっかりしているのと、恋ダンスのおかげで高視聴率。やるなあ。

 勝手に人生相談Vol.26「夢見る六十代」につづく

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