第24回「築山へ集え!」はこちら。
大河ドラマのファンというのはなかなかにむずかしい人たちで(わたしを除く)、史実との相違が許せない人が多いとか(くどいようだがわたしを除く)。
悪女で知られる築山殿(有村架純)のことを、長男信康の嫁であり、それ以上に信長の娘である五徳(乃木坂46~このグループのルックスはみんなすごいですよね~の久保史緒里)が、父に向けて姑への悪口雑言をくり広げた手紙が存在している以上、それをひっくり返すのは至難の業だ。
そこはしかし古沢良太脚本なので、そう来るかあとびっくり。あまりにみごとなので、いやちょっとそれはやりすぎなんじゃない?と思うくらい。いかん、わたしも頑固な大河ファンになりかけている。
息子は母が逃げるまで動かないと主張し、母は息子のことを案じ続け……これって一種の母子心中であるわけだが、この大河にはあの歌舞伎俳優が出ていないのでセーフ。
2023年ももう半分が過ぎた……とお嘆きの方々が多いようだけれども、わたしはもう半分も残ってるのと嘆くタイプ。いずれにしろ、この大河も今回で折り返し地点に来た。
湖のシーンは気合いが入っている。時代劇で湖が出てくるとろくでもないことが起こるのは溝口健二の「山椒大夫」などでおなじみ。入水する香川京子のために、竹の葉に薄墨を塗るまでした当時の映画界の豊潤さを思う。
主人公に感情移入できないと大河ファンは離れていく。史実と違っても離れていく。でも、ちゃんと武田勝頼に「人でなしじゃな、家康」と言わせるくさびもちゃんと打ってある。あんただけはそれ言っちゃダメなのに。
むずかしい方程式をきちんと解いてみせたのは、脚本の力と鼻水流しまくりの松本潤の貢献だ。そしてやっぱり出たねうさぎ。タイトルの「はるかに遠い夢」が何を意味していたかが泣ける。
第26回「ぶらり富士遊覧」につづく。
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