2005年ネタはつづく。
マイケル・ジャクソンの無罪判決にホッとした人も多いだろう。あるいは逆に「地獄に叩きこんでおけばよかったのに」と加虐的に考えていた人もいるかもしれない。どう見てもいじめられやすい体質だし。どちらも正直なところだろうが、わたしはこう考えている。暴論であることは承知の上でまたしても言わせてもらうが「天才は何をしてもかまわない」のである。人を殺そうが金に汚かろうがセックスにだらしがなかろうが。芸人とは、そんな存在であるべきだ。小さい頃からずーっとスターであり続け、自らが虚業の中心にいることを認識しながら、まともな神経を維持することの方が難しいだろう。
「マイケル・ジャクソンの真実」なるものが何度もマスコミをにぎわすけれど、はっきり言って真実なんかくそ食らえである。問題は、あふれるほどの中傷や誹謗のなかで、彼がどんな音楽を創り出してくれるか、これだけだ。
「タブロイド・ジャンキー」をご存じだろうか。マイケル・ジャクソンがゴシップ好きの世間を青臭く(このあたりがマイケルらしい)せせら笑っているハードな曲。【あいつはホモセクシュアル】【マイケル・ジャクソンは酸素タンクのなかで~】【彼女はバイセクシュアル】なんて詞が生硬なまま入っていて、彼がどれだけ芸能ジャーナリズム、およびそれに熱狂する世間を嫌っているかが如実にうかがえる。
しかし肝心なのは、この曲がダンスナンバーとしても一級品だということなのだ。児童虐待や人種差別などへの抗議をくりかえすマイケルは、しかしそのむき出しのメッセージを、圧倒的に高度なポップチューンとして提示する才能をもっている。しかもそんな曲にかぎっておちゃらけたPVが用意される周到さ。だからこそわたしは彼を応援するわけ。「ヒール・ザ・ワールド」みたいな、いかにも良心的な曲は大嫌いだけどね。今、クルマのなかでわたしはジャクソンズ名義の「ハートブレイクホテル」をくりかえし聴いているけれど、これだけのナンバーを創るアーティストが他にどれだけいるかってんだ。
地に堕ちた名声を取り戻すとすれば、それは再び「オフ・ザ・ウォール」「スリラー」に匹敵するアルバムを彼が創り出すしかない。いばらの道ではあるだろう。しかし方法があるだけアーティストとはすばらしい商売ではないか。もしそれができないとすれば、彼はこう結論づけられるだけだ。「マイケル・ジャクソンは、長生きをしすぎた」と。
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