ジョン・ル・カレ追悼の意味でディスカス。ル・カレの名を一気に高めた「寒い国から帰ってきたスパイ」の映画化。監督はシリアス一辺倒のマーティン・リット。赤狩りに苦しんだ彼を起用するとは気が利いている。モノクロ画面が渋い。
主演のリチャード・バートンが(監督に命じられたからか)ほとんど表情を見せないのもいい。とにかく最初から最後まで苦虫を嚙み潰したような顔ばかり。まあ、それはバートンと当時新婚だったエリザベス・テイラーが撮影現場にやってきて邪魔だったからかも(笑)。
英国情報部が東ドイツに送りこんだエージェントが次々に始末される。それは東ドイツの諜報機関を指導するムントという人物によるものと思われた。そこでイギリスは彼を失脚させるために……
ストーリーは二転三転。裏の裏、その裏までかく展開がすばらしい。原題の「Cold=寒い国」が、東ドイツを指すだけでなく、「帰ってくる」ことの真の意味を観客は最後に知ることになる。
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