事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

日本の警察 その76「機龍警察 完全版」 月影了衛著 早川書房

2015-05-08 | 日本の警察

その75「捜査組曲」はこちら

これまで文庫でしか出ていなかったオリジナルに大幅加筆修正。あきれたことに初読のときとまったく同じように興奮し、一気に読破。オリジナルバージョンとどこが違うかなど意識する余裕すらなかった。

巻末にライナーノーツというか、映像ソフトで言うところの「特典映像」的なおまけがたくさん仕込んであってこれがなかなか。作者のコメンタリー付きで読めるみたいでいい感じ。全4作を読んでいるのでなおさら興味津々。

・作者の月村は、なによりも時代小説を志向していたのであり、時代がかったペンネームはそのせい(近衛十四郎が演じた「素浪人月影兵庫」を連想します)。

・キモノと呼ばれる機甲兵装を着用した(乱暴な言い方をすれば)ロボット部隊が、同様の兵装の犯罪者を追いつめる……この設定は特車二課でおなじみ。しかしこの設定よりも物語的にたいへんだったのは、警察内部に傭兵を存在させることだったとか。

……およそありえない設定であるだけに、キモノ以外の地道な捜査活動がきちんと描かれないと作品として成立しない。そこを毎回クリアするのに作者は苦吟している。そりゃ、しんどいだろうなあ。

テレビの脚本家として行きづまりを感じていた月村は、小説執筆に生活を賭ける。でも家計がどんどん苦しくなったので、文学賞に応募してなどと悠長なことを言っていられなくなる。だからオリジナル版はなんと持ち込み。しかも数社から出版を断られている!

早川に目利きがいなかったらこのシリーズ自体存在しなかったのである。あぶないあぶない。ありがとう早川書房

その77「違法捜査 志布志事件でっち上げの真実」につづく



コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« キャラの人&キャラのメディ... | トップ | これでいいのか山形県PART11... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

日本の警察」カテゴリの最新記事