その1はこちら。
……このアーウィン・アレンこそがパニック映画に生き、同時に消えていった製作者だとわたしは思っている。彼の略歴をググってみた。
アーウィン・アレン Irwin Allen
生年 ■ 1916/06/12 没年 ■ 1991/11/02 ■コロンビア大、ニューヨーク市大を卒業後、ジャーナリストを経てラジオ番組のプロデューサーを11年続ける。その後ラジオと本の代理店を経営。映画製作に着手するようになり、53年に製作・監督した“The Sea Around Us”でアカデミー記録映画賞を受賞。60年代に入ってからはテレビ・シリーズを製作し、「宇宙家族ロビンソン」、「タイム・トンネル」などSFものを輩出した。スペクタクルな作品が好みらしく、劇場用映画のプロデューサーとしても常に大作を手がけていた。特に「ポセイドン・アドベンチャー」と「タワーリング・インフェルノ」(共同監督)の2大パニック作品を生み出した意義は大きい。監督作には「失われた世界」、「スウォーム」などがある。
……やはり頂点は「ポセイドン・アドベンチャー」と「タワーリング・インフェルノ」。彼の新作情報に心ときめかせたのもその頃。しかしその後、彼は一気に凋落し、マイケル・ケインが主演した「スウォーム」など、無惨な出来だった。
彼の栄光と挫折はすべてパニック映画とともにあったわけだが、このジャンルで成功するためのひとつの方程式が彼のフィルモグラフィからうかがえる。つまり、災害のなかでの人間ドラマを成功させようと思えば、それは“限定された場所”でなければならないのではないか、ということだ。
「大地震」や「スウォーム」がドラマにもなっていなかったのは、あまりにも空間が広がりすぎていて危機感が観客に伝わらないためだ。その点、燃えさかる高層ビル(→タワーリング・インフェルノ)や、転覆して上下がひっくり返った豪華船(→ポセイドン・アドベンチャー)は文句のつけようのない設定だ。「ポセイドン~」で言えば、空間が限定されている上に時間も(沈没の危険性、残された空気の量とか)リミットがきっちりしているわけだし。
そしてその「ポセイドン・アドベンチャー」をリメイクしたのが今回の「ポセイドン」。監督は水を描く名人ウォルフガング・ペーターゼン。巨額の製作費をつぎ込み、ストーリーは一級品。どこにも穴のないプランのはずだった。しかし……その3につづきます。
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