第一話はこちら。
歴史ドラマを書いていると、史実とフィクションの配合に気を使うことになる。固定客の多い大河ならなおさらのことだ。
初回に坂本龍馬と近藤勇、そして土方歳三が連れだって黒船を見物に行くという大嘘を書いて批判された三谷は、だから少し筆が萎縮してしまったかもしれない。
でも後半は違う。モデルが無名であるため、どう描いてもかまわない滝本捨助(中村獅童好演)を狂言回しにすえ、もう書き放題。捨助を鞍馬天狗の原型に見立て、おそらくは下手人が判然としない某事件にからませる算段か。
こんな小細工をしないと、新選組の末路など悲惨で見ていられないのも確か。山南敬助(堺雅人はこの役で一気にメジャー)の粛清に始まった同志の離反劇は、原田左之助(山本太郎)や永倉新八(山口智充)、そして藤堂平助(中村勘太郎)に及び、終いにはほとんどの隊士が死んでいくのだし。
ここで活きてくるのが実際の隊士たちと同世代の連中を起用したキャスティングだ。
珍妙なルールに自縛され、新選組が粛清につぐ粛清だったのは、やはり未熟な若者たちの集団だったからだろう。同じテロ集団だった連合赤軍との相似もそこにある。
連合赤軍だって、あの“総括”は、水筒がどうしたのといった些細な感情の行き違いから始まり、若さゆえに誰も自身の暴走を止められなかったのではなかったか。
結局のところ【時勢を読めなかった二流の存在たちの悲喜劇】に終わらせないために作家たちの苦労はあるのだろうし、それゆえに新選組をめぐる物語は面白くもある。
三谷ドラマは総じて視聴率は悪く、しかし最終回近くに一気に駆け上るのが恒例になっている。驚きなのは9月の時点であの遅筆作家が脱稿していることだが、やはり最終回は近藤の処刑シーンになるんだろうか。
個人的には、五稜郭の土方(いいぞ山本耕史!)の最期まで見届けたいものだ。だってさー、香取慎吾には悪いけれど、近藤勇ってどう考えてもただのぼんくらで、新選組はやっぱり土方のもんじゃないか?
第三話へ続く!
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