事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「北陸代理戦争」(1977 東映)

2013-06-03 | 邦画

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「仁義なき戦い」でビッグネームになった深作欣二監督の、実録路線最後の作品。最後にならざるをえなかった理由とは……

・企画当初は「新・仁義なき戦い」の一篇で構想されていたが、実録路線に見切りをつけ、「トラック野郎」にのめりこんでいた菅原文太が逃げ回ったため、主演は松方弘樹で独立した作品となった。このあたりの経緯は日下部五朗の「シネマの極道」でくわしく述べられています。

・DVD特典映像の予告編には渡瀬恒彦が登場しているが、本編ではその役は伊吹吾郎になっている。これは雪上をジープで走る(というより生き埋めにした人間をひき殺す)シーンで転倒して渡瀬が重傷を負ったため。

……しかしきわめつけの理由はこれ。

・主人公のモデルとなった実在のやくざが、公開後にこの映画のために射殺されてしまったから。

そのモデルとなったのは北陸の帝王とよばれた川内弘。彼はこの映画を全面的にバックアップし、渡瀬がけがをしたときに病院へ運んだのも川内の子分だったのだとか。

山口組内部の権力闘争もからみ、かなり複雑な様相を呈していたなかで川内は殺されたのだが、その現場は映画のなかで彼が襲撃されるシーンが撮影された喫茶店だったという念の入りよう。世にいう三国事件である(現場が福井県三国町だったから)。

しかも殺されたのは封切り後わずか1ヶ月半。「シネマの極道」では、

「この組長は、敵対する組にではなく、内ゲバ的にやられていた。映画のモデルになって変に目立ったおかげで殺されたのかもしれないのだ」

と解説されている。

その昔「シナリオ」誌でこの映画の脚本を読んだことがあるんだけれど、背景はとにかくわかりにくい。でも、映画は弾けまくっており、無類の面白さになっている。松方弘樹、千葉真一という陽性な役者の激突は、「仁義なき戦い」とは別種の熱気をはらんでいる。ハナ肇や高橋洋子など、やくざ映画らしからぬキャスティングも効果的。いやー面白かった。

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2 コメント

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確かにメッチャ!オモロカッタ~!! (Unknown)
2013-06-08 12:44:51
確かにメッチャ!オモロカッタ~!!
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深作の映画が“お祭り”なのがよくわかるもんなー。 (hori109)
2013-06-21 22:40:13
深作の映画が“お祭り”なのがよくわかるもんなー。
にしても、高田宏治って脚本家のことはもっと
評価されていいと思うのに。
会社の期待にこれほど応えた人はいないぞきっと。
返信する

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