日本史を履修していなかった弱点が次々にわたしに襲来する。「星夜航行」で秀吉の朝鮮出兵、「平城京」で大和朝廷、「えんの松原」で平安京……次から次へと歴史知らずにはハードルの高い時代が。うわ、今回は元寇が舞台。
えーと、確か蒙古は2回やって来たんだよね。で、神風が吹いてなんとかしのいだと。あとは、うーん……ちゃんと帚木蓬生のこの本でお勉強しなきゃダメだな。
主人公は千葉の漁師、見助(この名前は彼の人生を象徴している)。彼は天涯孤独となって以降、尊敬できる僧の身の回りの世話をやくことを生きがいとしていた。僧の名は日蓮。
他の宗派を徹底的に攻撃する彼は、いずれ他国がこの国を侵略するために訪れるだろうと予告する。そのために日蓮は、見助を対馬に送り、状況を知らせるように依頼する。見助の長い旅が始まった。
……ひらがなしか読み書きができない見助と日蓮の手紙の文面が挿入され、事態が次第に緊迫の度を増すことと、師弟愛が読者に伝わる。すごくお勉強にもなりました。
・蒙古襲来とはいうが、その構成は元に征服された朝鮮の民が多かった。
・九州は確かに守られたが、対馬と壱岐は徹底的に蹂躙された。
・元は日本を版図に加えることはできなかったが、数多くの人間を連れ去った(腕に穴を開け、縄でつないで)。
・日蓮は地震や疫病、そして元寇を法難だと断定した。
・鎌倉幕府は二度目の襲来のために長い防護壁をつくり、元の攻撃をしのいだ。
・元が撤退したのは、神風のためではなく、季節風によって半島まで帰れなくなることを恐れたこともあった。
・騎馬民族であった蒙古にとって、海を越えての侵略は(馬は土を踏まないと爪が割れる弱点があった)これまでと勝手が違った。
……日蓮の目となり耳となった見助は、妻帯もせず(愛する女性は連れ去られる)、そしてふたたび日蓮と会うことがかなわずに世を去る。哀しいお話だが、蒙古の馬(日本の馬とはサイズが違う)を引き連れて喜々とするくだりなど、彼の人生の意義を感じさせてうれしい。
読みます。
宗教大好きですから。
歴史はジャンルを決めるとおぼえやすいんですかね、宗教とか。8778