事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

古畑任三郎を全部観る Vol.42~古畑中学生

2009-05-28 | テレビ番組

Ishidayuriko05 第41話「ラスト・ダンス」はこちら

「古畑任三郎、生涯最初の事件」とサブタイトルがついているスピンオフ作品。古畑の少年時代を演じるのはジャニーズ事務所の山田涼介。ドラマが進むにつれて確かに古畑に見えてくるのだから演技がうまい子なのだろう。

「ちょっと、よろしいですか?」

こんなセリフをかます中学生が嫌みに見えないだけでもたいしたものだ(笑)。

内容は牧歌的探偵物語。むかしの少年ドラマシリーズのようなテイスト(ラストにみごとな教訓~「古畑、必要なのは経験と知識だ」~が存在することも含めて)。廃屋に探偵事務所をかまえた古畑のもとに持ち込まれる事件の数々が楽しい。すべて、シャーロック・ホームズの事件簿が元ネタになっているのね。「美しき自転車乗り」(のちに古畑がセリーヌの自転車を愛用する伏線)とか「赤毛連盟」とか。

少年時代にエラリー・クイーンを読んだ人間は本格マニアになり、シャーロック・ホームズ好きは“不可解な依頼人たち”を心待ちにするようになる。わたしはホームズ派だったから探偵ごっこを始める古畑の気持ちはわかるなあ。

このドラマ全体も「赤毛連盟」をひねったつくりになっていて、ネタバレぎりぎりだけど、なぜ都会からやってきたひねくれた少年探偵のもとに数々の事件がもちこまれるのか……古畑好きの視聴者なら最後のオチは読めたでしょうが、古畑シリーズのなかでもかなり上位にくる脚本ではないだろうか。

はすっぱでだらしない母親を演じた石田ゆり子がセクシーですばらしい。古畑任三郎の奇矯な性格が、母親への反発と愛情から生まれたのが歴然。

そしてラスト。古畑任三郎にとっての“父の出現”が高々と歌い上げられ、長大なシリーズの幕は下りた。はたして、田村正和と三谷幸喜が古畑の次作をどう考えているかはわからない。でも、視聴率13%台という地味な結果のままで終わらせる連中ではあるまい。ファンとしては時が熟すのを待ちましょう。経験と、知識をたくわえながら。

【最終話 「古畑任三郎の最高傑作はなにか」につづく

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