吉田修一の原作は凄かった。いわゆる芸道ものだが、極道の息子として生まれながら歌舞伎役者に弟子入りし、その天才から人間国宝にまでのぼりつめる男と、その歌舞伎役者の長男として生まれ、その血筋によって自らの才能を伸ばしていく男……このふたりの数奇な人生と、衝撃のラスト。ほんと、凄かった。
あの小説を原作にして、演じているのは吉沢亮と横浜流星。期待するなというほうが難しい。で、映画館に急ぐ。
すばらしかった。2時間55分があっという間だ。
子ども時代の喜久雄(のちの吉沢亮)を演じたのは黒川想矢。どんだけ演技がうまい子なのかと思ったら、あの是枝裕和の「怪物」の少年でした。
彼の目の前で父親(永瀬正敏)は惨殺され、彼は大阪の歌舞伎役者の家に世話になることになる。その家には、喜久雄と同い年の長男、俊介(のちの横浜流星)がいて、彼らは互いを意識しながら切磋琢磨する。
師匠となる役者を渡辺謙、踊りの師匠であるその妻に寺島しのぶ。ふたりの若者と複雑にからむ女性に高畑充希。彼女と喜久雄の背中には刺青が入っている。わたし、高畑充希がちょっと苦手だったんですが、女の覚悟のようなものが感じられて魅力的でした。
歌舞伎の演目と彼らの人生が(曾根崎心中の足の場面など)シンクロするあたりの工夫もすばらしい。「悪人」「フラガール」「流浪の月」などの李相日監督の演出もみごとだ。歌舞伎のスタッフたちの微妙な動きにまで神経が行き届いている。
脚本は「しゃべれどもしゃべれども」「サマーウォーズ」の奥寺佐渡子。あの長大な原作をよくもまあ。
そしてなんといってもこの作品は吉沢亮と横浜流星の渾身の演技によって記憶されるはず。指先の動き、目線、そして声……生半可な努力ではなかったろう。ど素人が歌舞伎役者を演ずるのは相当の覚悟だ(田中泯は前衛舞踏家だから歌舞伎への解釈がどのようなものかこちらも知りたかった)文句なく彼らの代表作になるはずだ。
歌舞伎役者たちが映画館に数多く訪れているそうだ。それはそうだろう。心穏やかではいられない、それだけの作品なのだから。
(しゃべれども、の脚本家さんなのですね!納得です。)
デコピンシーン、屋上で踊り狂うシーン、終盤の足の場面、、、セリフでない表現が良かった。
素晴らしすぎましたね。田中泯も森七菜も若い黒川君も。
森七菜はフロントラインと合わせて
助演女優賞かもと思える存在感でした。
昨日まで助演男優賞はフロントラインの窪塚洋介かなと早くも思ってましたが、黒川君かも。
うーん。
ふたりに寄りそうあの役者ですよね。
ああ検索できない、
鎌倉殿で、ガッキーの(無理矢理結婚させられた)最初の旦那さん役だった人では、、、
なんか顔に見覚えが、、
うちの職員たちも大騒ぎです。
「3時間吉沢亮と横浜流星を見れるだけでも」
「そっちは興味ないの」
そういう人もいる。