事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

古畑任三郎を全部観る Vol.33「絶対音感殺人事件」

2009-03-07 | テレビ番組

Pe 第32話「古い友人に会う」はこちら

今回の犯人はコンダクター黒井川尚(市村正親)。恋人の楽団員が他の男に心を移したことに狼狽し、彼女の部屋で死なせてしまう(だから正確には殺人事件ではない)。雨で濡れた階段ですべったように工作するが……

残念なことにミステリとしてはかなり弱い。この偽装が成功するなら、世の中から傷害致死事件はなくなってしまう。古畑は、被害者のドアのキーが左ポケットに入っていたことに疑問を抱くけれど、よく考えたらわたしの車のキーだってよく左ポケットに入っています。わたしも右利きで、カバンを携帯していたとしてもですよ。

でも、小説では描くことができない世界がここにはある。

絶対音感の持ち主であるコンダクターが、水槽の音と雨音の不協和音にいらついたり、クラリネット奏者が指をいためていることを聴き取るあたりの描写はテレビドラマならでは。収録スタジオがまったくの無音であることの緊張感を伝えることができるのも、画面と音が協奏するメディアにしかできない技だ。

だからこそ、無いものねだりと言われればそれまでだけど、「絶対音感殺人事件」を名乗るのだから、“犯人が絶対音感を持っていたことで犯罪があばかれる”のではなく、“絶対音感を犯人がもっていたがゆえに成立した殺人事件”にしてほしかったなー。

市村正親は、恋人を殺したあとに、内心は狼狽しながらも赤ワインをゆっくりと味わうあたりの余裕がいい。若い恋人を誰かに寝取られて……な設定が、篠原涼子と結婚した今だと違った意味で笑えます。

今回、古畑はあるメロディがなんの曲のものだったかをずーっと気にかけている。その曲がなんと某有名コミックバンドのもので、だから市村は最後にそのバンドのお決まりの芸を披露してくれる。緊張感あふれる回だったからこそ、こんなサービスがうれしい。

第34話「哀しき完全犯罪」につづく。

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