事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「清張映画に賭けた男たち 『張込み』から『砂の器』へ」 西村雄一郎著 新潮社

2015-08-14 | 映画

あなたの町に映画の撮影隊がやってきたら……かつてここ酒田でも「SILK」があり、そして「おくりびと」など、たくさんの作品が撮られている。もちろん「おしん」も。

それなりに大騒ぎだったけれど、松竹映画「張込み」が撮影された佐賀市の狂乱はその比ではなかった。とにかく人、人、人。大スター、高峰秀子は旅館を出ることができないくらいだったという。

もちろん、宮口精二、大木実などの人気もあったろうけれど、夢の世界である映画と、自分たちの町が切り結ぶその事実だけで高揚したのだと思う。わかるわあ。

著者の西村雄一郎さんは、その旅館の息子であり、ある映画館でとなりに黒澤明が偶然座るという僥倖にめぐまれた人だ。これらの事実が彼を映画評論の世界に必然的に連れて行く。


「砂の器」の脚本に黒澤明がダメだしをしていた(オープニングの、羽越線のシーンを切れと)とか、野村芳太郎と松本清張がなぜ離反したのかなど、興味深い事実が次々と。面白かったー。

わたしは西村さんのブログを連日チェックしているのに、それでもなお面白かったです。ぜひ。

コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「ボーイミーツガールの極端... | トップ | 極私的朝ドラ史PART11 澪つくし »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
恨みも何もないのですが (さすらい日乗)
2016-04-12 14:30:19
この人の本は何冊か読んでいますが、どうも見方が甘いなという感じがします。
結局、いい家のお坊ちゃんなのでしょうね。
返信する
そうかなあ。 (hori109)
2016-04-12 21:43:57
映画音楽がいかに作品を高めたか(あるいは
低めたか)を評論の立場から語ってくれたのは
彼の貢献だと思いますよ。
返信する

コメントを投稿

映画」カテゴリの最新記事