あなたの町に映画の撮影隊がやってきたら……かつてここ酒田でも「SILK」があり、そして「おくりびと」など、たくさんの作品が撮られている。もちろん「おしん」も。
それなりに大騒ぎだったけれど、松竹映画「張込み」が撮影された佐賀市の狂乱はその比ではなかった。とにかく人、人、人。大スター、高峰秀子は旅館を出ることができないくらいだったという。
もちろん、宮口精二、大木実などの人気もあったろうけれど、夢の世界である映画と、自分たちの町が切り結ぶその事実だけで高揚したのだと思う。わかるわあ。
著者の西村雄一郎さんは、その旅館の息子であり、ある映画館でとなりに黒澤明が偶然座るという僥倖にめぐまれた人だ。これらの事実が彼を映画評論の世界に必然的に連れて行く。
「砂の器」の脚本に黒澤明がダメだしをしていた(オープニングの、羽越線のシーンを切れと)とか、野村芳太郎と松本清張がなぜ離反したのかなど、興味深い事実が次々と。面白かったー。
わたしは西村さんのブログを連日チェックしているのに、それでもなお面白かったです。ぜひ。
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結局、いい家のお坊ちゃんなのでしょうね。
低めたか)を評論の立場から語ってくれたのは
彼の貢献だと思いますよ。