事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

標準世帯の行方 第三話

2008-01-10 | 情宣「さかた」裏版

Nenkin クミアイ情宣シリーズ扶養篇その3。
今回は第3号被保険者の関係を。
発行日は2002年11月6日でした。

専業主婦の厚生年金 保険料免除見直し提起
厚労省報告書 夫に上乗せ検討
 厚生労働省の「女性と年金検討会」は12月14日、年金制度を「専業主婦標準型」から「共働き標準型」へ転換するよう促すことを柱とした報告書をまとめ、坂口力厚労相に提出した。サラリーマン家庭の専業主婦が、基礎年金の保険料を免除させられている「第3号被保険者」制度の見直しを提起、何らかの負担を課す方法として、夫が支払う保険料に上乗せする案を軸に検討が進められる見通しだ。
2001年12月15日付朝日新聞朝刊

……このテの報告書がそのまま実現することはあまりないが、諮問委員会の提案とはいえ、こいつが官僚がぶちあげたアドバルーンであることに間違いはなく、連中はあきらかに“本気”でこの方向へ政治家や世論をリードしようとしているのだろう。

 あらかじめ旗幟を鮮明にしておくと、私の世帯はまさしくこの現行制度の“恩恵”を受けている。同じ掛金率で算定された公立学校共済組合長期掛金を納付しながら、妻の分はまるまる共済組合が負担しているわけ。国民皆保険、国民皆年金のかけ声にうまくのったとも言える。そのつもりで読んで。

扶養手当の号でも述べたが、実現へのよりどころは“不公平感”である。そりゃま、そうだろう。現行の第3号被保険者制度は、夫がサラリーマンで年収130万円未満の妻は、年金保険料を負担しなくても基礎年金(満額で月67,000円)が支給される制度だ。これだけでも独身者や共働きの労働者が怒るのも無理はないし、なによりこの第3号の対象者が1,150万人もいるあたりがつらいところ。これだけ多数では、年金制度へのただ乗り、とつっこまれても抗弁しきれない。

Manbo01bw こんな不公平が今まで通って来たのは、税制にしろ保険にしろ年金にしろ扶養手当にしろ、日本における標準世帯の概念が『外に働きに出ているお父さん、おうちで家事をするお母さん、そして子ども二人』と長い間想定され、世間もそれを「あ、そんなもんかな。」と看過してきたからだろう。銀行や霞ヶ関の官庁のように、妻が働きに出ることを“恥ずかしい”とする風土が未だに残っている旧弊な業界もあるぐらい。学校の場合はまた別で、不公平感を表立って主張する人がいないのは、みんなこのことを知らない(笑)ことがあるんだと思う。結構世間知らずな人が多いからなあ。退職直前に「この公立学校共済組合って、何だね?」と訊ねる猛者もいるらしいし。

 具体的な見直しとして有力なのは、世帯単位の受益という点で不公平感を解消できる狙いから、妻が保険料負担を免除されている夫に、共働きや独身者よりも高い保険料率で負担をしてもらう案。これだと夫の月収が40万円の場合、月額4,000円程度の負担増になる試算が出ている。

 4千円かあ。仕方ないとこかな、と油断してはいけない。報告書にはもっとシビアな部分があるのだ。
PARTⅣにつづく

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