事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「THE 有頂天ホテル」('05 東宝=フジテレビ)

2008-05-06 | 邦画

大ヒット。

三谷幸喜が監督した映画は今までに2本。「ラヂオの時間」と「みんなのいえ」。「ラヂオ~」は放送業界の内幕を笑い飛ばして快調だったけれど、2作目は空回り。他にも脚本が映画化された「12人の優しい日本人」「笑の大学」などがある。共通していたのは“大コケしたわけでもないが、たいしたヒットでもない”ことだった。このあたり、「古畑任三郎」(まもなく特集します)以外は視聴率的に苦戦しているテレビと同じ傾向。

それがなぜここまでの大ヒットになったか。おそらく(06年)正月の「古畑任三郎ファイナル」三夜連続オンエアが効いたことと、脚本家や映画監督としてより記者会見でのコメンテーターとしての才能の方がはるかに大きい(笑)三谷が八面六臂で露出しまくったことによるのだろう。今回も彼はかましまくったのでちょっと紹介。

「郵政民営化法案も廃案になり、政局も混迷を極める中……現場はつつがなく進んでいます。唯一のアクシデントと言えば、リハーサル中に麻生久美子さんのスカートが落ちたくらいです。」

「(お正月映画でライバル視しているものは?)嫌なことを思い出させてくれましたね。すっかり忘れてましたが、取りあえずは『SAYURI』かな?」
→となりにはもちろん役所広司がすわっている。

「なんでこんなに集まってくださったんだろうと思うと…僕の人望だろうな。僕に感謝したい」

結果的に劇場に多数の観客が訪れたことは、この映画にとって本当にしあわせなことだったと思う。だって、たくさんの客がいることでなお面白い映画だったからだ。かつて、故郷に帰れずにいる都市生活者たちが「男はつらいよ」でつかの間の帰省気分を味わったように、お正月の映画館には喜劇がよく似合う。そしてこの映画は、あたたかい気持ちで劇場を出たいという観客の期待にみごとにこたえている。最後の長回しだけでも観る価値あり。エンドタイトルが終わったとき、後ろにすわった中年女性は「どうしてみんな拍手しないのかしら」とつぶやいていた。賛成。

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