事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「野村ノート」野村克也著 小学館刊

2008-05-06 | スポーツ

Nomuranote  こういう分析を、わたしは待っていたのだ。

走者一、三塁で打者が下位打線。ダメ押し点がほしい場面でのギャンブルダブルスティール(※これは野村が命名したものだと彼は強調している。本来一、三塁での重盗では、一塁走者はおとりである。まず捕手に二塁へ投げさせることから始まるのだが、セオリーは捕手の送球が投手の頭上を越え、「投手が捕らない」「高い」と判断したら三塁走者がスタートする。ただこれでは二塁ベースカバーに入った二塁手、遊撃手から本塁に転送され、9割方アウトとなる。そこで私は三塁走者に、送球が投手の頭上を越えたときではなく、捕手の手からボールが離れた瞬間にスタートを切りなさいと指示した。もし投手が送球をカットし本塁に送球してしまえば、三塁走者は刺されてしまう。だからギャンブルなのである。この場合、捕手が二塁へ送球するかしないかの「読み」が重要で、もっとよいのは捕手の出すサインの解読ができればいうことなしである。
       
……さらに、野村は続ける。

 もう少し厳密にいえば、三塁走者は通常三塁線の外でリードをとっているのだが、捕手が捕ったと同時にラインの内側へ入る。外側にいると三塁手との位置関係で、捕手が横目で三塁走者を見たとき、走者がどれぐらいリードしているかわかってしまう。「あっ、ホームに突っこんでくるな」と捕手に悟られる可能性があるが、内側に入って三塁手と重なることで距離感がなくなるのだ。

……おーみごとだ。これだけ緻密なことを野村克也はやっていたのか。こりゃー阪神には合わなかったわけだな(^o^)。豪速球をもっているわけでもない巨人の上原を「球界一のエース」と評価するのはなぜか、元木大介が「くせ者」として野村を徹底的に考え込ませた事情など、プロ野球を深く味わうには必須の一冊。

 しかし、だ。“照れ”とか“謙遜”などというものを初手から持ち合わせていない野村の評価軸は、やはりどこかずれている。この本の中でも「自分を崇拝しないタイプ」には徹底して厳しい。清原、井川、石井一……彼らへの悪罵は、単なる因業オヤジの繰り言にしかわたしには聞こえない。自分にとって最高の生徒であり、最高の作品であるはずの古田が「年賀状も寄こさない」と嘆くあたりは、正直なじいさんだよなあと苦笑。はたしてこの臭味に、東北の楽天ファンは耐えきれるだろうか。ちょっと心配。

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