事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「男はつらいよ お帰り 寅さん」(2019 松竹)

2020-01-27 | 邦画

日曜のお昼、イオンシネマ三川に客はそこそこ入っている。おっと上映直前になってたいそうな人数がやってきたので、さすがこのシリーズはまだまだ強いんだなあ……シニア料金で入ったわたしたち夫婦が、それでもまちがいなくいちばん若かったですが(笑)。

渥美清を特集したときに告白したように、わたしは山田洋次の映画が苦手。説教臭いし、日本映画を十年遅らせると主張してきた。

ただ、やはり渥美清の退場とともに、寅さんがいない日本に住んでいることが、やはり寂しいことなのだと年を取ってつくづくと感じられる。そんなわたしのような年齢層がこの一種のイベント映画(1作目から50年、シリーズ50作目)に駆けつけたわけだ。

最後の作品の劇場公開から22年も経っているのだから、客の高齢化はいたしかたがない。そこで松竹は、テーマソングを桑田佳祐に歌わせたりしているけれども、やはり渥美清の歌声には及ばなかった。もちろんそれは桑田の責任ではなく、観客は車寅次郎以外の人間の

♪奮闘ぉ努力の甲斐もなくぅ♪

を認めるはずがなかったわけで。

さて、お話は満男(吉岡秀隆)と、初恋の人の泉(後藤久美子)の再会と別れを描いている。んもうストーリーはそれだけ。で、それすらも必要としないくらいに寅さんの元気な姿だけで観客は満足している。あの有名なメロンのシーンはほぼ丸々挿入されているし、テキヤの口上も絶好調だった。

このシリーズは、言ってしまえば【人間関係をうまく構築できない兄寅次郎と、日本が生んだ妹の最高傑作さくらの長大なラブストーリー】と総括できる。倍賞千恵子が演ずるさくらに、歴代のマドンナが及ばず、寅の恋愛が成就しないのは当然のことなのである。

そのさくらも、夫の博(前田吟)も老い、おいちゃんやおばちゃんの年齢をもう越えている。満男は会社員を辞め、なんと小説家になっている。

このあたりから、山田洋次の仕掛けがうっすらと見えてくる。以下次号


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2 コメント

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1969年 (ぱたた)
2020-01-29 09:15:17
第1作公開年に私生まれましたので
第50作=50歳と偶然にも一致してます。
(蛇足ですがドラえもんも連載50年、
サザエさんも放映50周年)

まちキネで鑑賞しましたがhoriさん同様
私が一番若いようでしたね。
恥ずかしいのですが題名が出ただけで
感涙しまして、後半の歴代マドンナが
出演の所は号泣していました…。
贅沢な映画体験をしました…。

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だろぉ?! (hori)
2020-01-29 18:29:32
ほんとはまちキネで観る予定だったんだ
けど、クルマを買うのに時間がかかった(笑)
ので三川に。
何度泣いたかなあ。妻はお母さんといっしょに
盆正月に観るのが恒例だったらしい。
あの、怒濤のマドンナにはさすがに泣いてた。
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