うわあ、まいったな。こんなにいい映画をどうして見てなかったんだろう。
……わかってます。わたしもいい年だから、あの事件のことは知ってましたから。
ジェームズ・ハントとニキ・ラウダの1976年におけるF1デッドヒートのお話。レースが終わればシャンパンに溺れ、レース前によく嘔吐する(気の小ささの象徴)ハントにクリス・ヘムズワース。尻でクルマの調子まで理解できる冷静な、だからまわりから愛されることの少なかったニキ・ラウダは「グッバイ、レーニン!」のダニエル・ブリュール。陽と陰を代表するふたりが、反発し、同時にどれだけ理解し合っていたか。
年間に25人しかエントリーできず、そのうち2人は死んでしまうという、よく考えれば(考えなくても)異様な競技であるF1。ハイオクを満タンにし、身を守るガードを(ワイパーもないんですよ)もたないレースカーに乗るということがどれだけ異様なことか。しかもそのデスレースに今でも巨額の金が注ぎこまれている。
コロッセウムで剣闘士(の死)に熱狂したローマ時代から何も変わっていない。だからこそ、レーサーになる人間は変わっているし、同時に(特に女性たちに)愛される事情がつくづくと。いくらクルマ好きとはいえ、F1カーに乗ったらクラッチすらつなげないであろうわたしはレースの描写にはやはり熱狂してしまった。
ハントの妻はリチャード・バートンと不倫してしまうし、ラウダの妻の前の恋人はクルト・ユルゲンスだったあたりの芸能ネタはうれしい。しかしそれ以上にレースの描写が凄い。ヘルメットに映るサーキットの姿、ウイングから流れていく雨など、ああどうして映画館で見なかったんだろうとひたすら悔やむ。
同じような構図はスポ根漫画でもよくありましたよね?わたしはテニスで言えばマッケンローよりボルグが好きで、だからラウダの方に少し感情移入。実は途中で号泣。リアルタイムで見ていたら、ベストワンに選んでいたかもしれません。
徹底的に練り上げられた脚本、監督ロン・ハワードの職人芸が光る傑作。それにしても、この映画に出た女優たちは盛大に脱いでくれますねえ!
当然として、緊張感が半端ないのよね。
で、女優たちの美しさも半端ない(笑)