「オリエント急行殺人事件」「アントマン&ワスプ」と、ちかごろ絶好調のミシェル・ファイファー。昔の映画も観てみよう……えーと確かアル・パチーノと共演してるのがあったよな、とディスカスで検索。これだっけか、と何も考えずにポチッ。
さあ拝見しましょう。あれ?オープニングのクレジットにミシェルの名がない。しまった、ミシェル・ファイファーが出ていたのは「恋のためらい/フランキーとジョニー」だった!(スカーフェイスでも共演しています)。
まあ、ミシェル抜きでも面白ければそれでよし………………ってめちゃめちゃ面白いじゃないですか「セント・オブ・ウーマン」!
ボストンの名門校で学ぶ、苦学生のチャーリー(クリス・オドネル)は、金持ちのボンボンたちの校長へのいたずらのせいで、退学の危機にある。そんなとき、盲目の退役軍人フランク(もちろんアル・パチーノ)の世話をするバイトに向かう。フランクはいきなりチャーリーをニューヨークに同行させ、贅の限りをつくす。宿泊先はヒルトンのフラッグシップ、ウォルドルフ・アストリア。盲目なのにフェラーリを疾走させ……まるで、思い残すことがないように。
女の香り(原題)に歓びを感じ、傷つき、そして再び前を向く……一発大逆転のストーリーは「ミッドナイト・ラン」でいいところを見せたマーティン・ブレスト監督だからお手のもの。ボンボンのひとりが若きフィリップ・シーモア・ホフマンなのにびっくり。フランクとタンゴを踊るガブリエル・アンウォーの美しさときたら。
でもこの映画はひたすらアル・パチーノのものだ。
彼がうまい役者であることは誰でも知っていて、だからむしろ退いた演技を見せるのかと思ったら、リミッターをはずしたかのように「これがうまい演技だ。これが名演だ」とかましている。
盲目の人間の動きを徹底的に研究したのだろうし、失ったプライドを次第に取り戻していく過程など、うなるほどうまい。でも、まさかこれだけわかりやすい演技でアカデミー賞を受賞するとは彼も思わなかったのではないか。
そして、彼に唯一のオスカーをもたらしたのがこんな娯楽作だったことが驚き。
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