事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

柳家小さん

2008-03-23 | インポート

Kosan 内海好江:で、その時にね、二二六でものすごい雪が降って、大変な雪だったって話を。
柳家小さん:そうそうそう。
好江 :そこへ師匠が行ったんですか?
小さん:うん。
好江 :雪かきに?
小さん:なに言ってんだよ。反乱軍になったんだよ、反乱軍。
好江 :反乱軍てえのは、なんか反乱を起こすわけ?
小さん:そうそう。
好江 :反乱起こす顔してませんよ。
小さん:俺が起こしたわけじゃないんだ。
好江 :ああそうですか。 
                                                                      (「柳家小さん芸談」より)

 テレビで落語をやっていればとりあえず見る。それが馴染みのない噺家であろうと、なかなかそんな機会はないから。唯一残ったメジャーな演芸番組は「笑点」だけど、あれは【落語番組】じゃないしね。

 志ん生文楽をリアルタイムで見ることがかなわなかった私のような世代にとって、名人と感じさせてくれる人は誰だろう。世評では談志志ん朝。でも二人ともケレンが過ぎてなあ。まあ晩年の志ん朝は聴いていないし、ひょっとしたらあの「オレはこんなにうまいんだ」ってとこは無くなってましたか?

 こうなるとあまりにメジャーすぎて忘れそうになるけれど、柳家小さんって存在はやはり大きかった。あのとぼけた味わいは、生きている頃はわからなかったのに、今はどうも懐かしい。のっそりと高座に出てくるたたずまいは、ありゃ貴重なものだったのだ。

 落語家という連中は、これがなかなか剣呑な方々のようで、造反だの脱退だのという騒ぎを常に起こしている。小さんは、そんななか落語協会のトップとして長く君臨していたことからもわかるように、ルックス通りなかなかのタヌキだったみたい。二二六事件に巻き込まれていたり、剣道の達人だったりとサイドストーリーにもことかかない。そのことも含めて、もう一度小さんの落語は聞き直してみたい。金を(永谷園から)たいそう稼ぎ、勲章ももらい(反乱軍だったのに)、家族にもめぐまれ、大往生で逝くことのできた男の、おあとのよろしい噺を。

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