主人公(松たか子)が、中学の教員として心に決めていたのは
「生徒を呼び捨てにしない」
ことだった。フレンドリーなつき合いを要求する生徒たちの期待にはそえないが、ひとりの人間として生徒を尊重しようと考えてのことだった。しかし、彼女のセオリーは最悪の形で裏切られる……
湊かなえの原作は、息子や娘が「すんごく面白い」と言っていたのだが(まだ、息子の本棚にある)、現役の中学校職員として“しんどそう”なので読まないまま。
こう思っていたのだ。きっとクラスのなかで延々と殺人犯捜しが続くのだろう、背景にはいじめやゆがんだ家庭像があるのだろう。しんどい、と。
これらの予想はことごとくはずれ、想像もしなかった展開、あ然とするエンディングにジェットコースタームービーとして突っ走る。計算されたカメラワーク(生徒ひとりひとりの顔があまり判別できないように撮ってある)。紋切り型のセリフがあると必ず裏があるか、あるいは粉砕されるみごとな脚本。そして観客に判断をゆだねる微妙な表情で作品をささえた松たか子。眉毛をうすくしただけでここまで怖くなるかー。
「下妻物語」「嫌われ松子の一生」「パコと魔法の絵本」の中島哲也に「告白」を撮らせようという企画がまずすばらしい。しかも断トツのシェアを誇るメジャー東宝がその企画にOKを出したこと、その作品に数多くの観客がつめかけている事実までふくめて、今年度ベストワン決定。
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