事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「おだやかな革命」(2017 いでは堂)

2018-03-05 | 映画

鶴岡まちなかキネマで妻と「おだやかな革命」を。

前任校のPTAが学校で上映会を催した「よみがえりのレシピ」の渡辺智史監督の新作。鶴岡出身なので地元で早々に公開。

「ブラックパンサー」を初日に観た息子は「その映画、けっこうお客さん入ってたよ」ということだった。へえ、こんな地味なドキュメンタリーに。土曜の1回目に向かったら駐車場もロビーもいっぱいだ。まさかまさか……ドラえもんの初日なのでした(笑)。

でも確かにこちらにもお客さんはけっこう入っている。客層はもちろん全然ちがうけれども。

今回のテーマはエネルギー。福島第一原発の爆発の映像から始まることでもわかるように、反原発が陰のテーマになっている。しかし、それをイデオロギーや政治色を慎重に排除し、商売として再生可能エネルギーをどう確立させるかという描き方なのは大正解だ。

福島における太陽光、岐阜の小水力、秋田の風力など、地元の電力を地元で作り出し、そして自給する方向性は、福島第一原発が「東京電力」のものだったことでもわかるように、都会の大量消費をまかなうために巨大な原発が必要とされていたことと真逆だ。

声高に反原発を叫ぶのもけっこうだが、それだけではおそらく原子力村の構造はびくともしない。都会の消費者と連携し、再生可能エネルギーを多様な選択肢のひとつとして常に用意しておく周到さがやはり必要なのだと思う。

この映画はその“連携”に着眼した時点で成功している。遊佐の農協が都会の生協と連携したエピソードもたっぷり撮影されていてうれしい。ナレーターは鶴田真由。渡辺監督は東北芸工大卒業なので、まもなく学長に就任する鶴田の夫である中山ダイスケ教授の関係で起用されたかな。

あ、ひとつだけ指摘しておきたい。これら再生可能エネルギーについては買い取り制度の問題が常に横たわる。政府や電力会社が、原発温存のためにテーブルをひっくり返したりしないように、わたしたちは常に注視しておく必要があるだろう。この映画に出てきた人たちの努力を無にしないように。

コメント (4)
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