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事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「凪の司祭」石持浅海著 幻冬舎

2017-11-11 | ミステリ

大好きな石持浅海作品。久しぶり。さすがに執筆ペースが落ちてきたか。いやしかし良くも悪しくも石持らしい作品だ。

ある計画を遂行するために共謀する男女のグループ。そのなかのひとりは汐留のショッピングセンターに向かい、ひとりは自室で殺されていた。残ったメンバーは汐留に急行し、“計画”を中止させようとするが……

帯にも書いてあるのでネタバレすると、この計画とは、ショッピングセンターにおいて、なるべく多くの人間を殺すというもの。

ポイントは

・なぜ見知らぬ多数の人間を彼女は殺さなければならないのか

・メンバーを殺したのは誰か

ミステリとして、本来は読者に納得できる動機や意外な犯人を用意しなければならないはず。でも、石持はこれらをまったく無視しています(笑)。特に動機のとんでもなさには苦笑。思い切り好意的な見方をすれば、テロの動機とは常にこんな理不尽なものという皮肉なのだという主張か(絶対に違う)。

理系の彼の頭の中には、ショッピングセンターの見取り図と、そのなかを右往左往する買い物客だけが、まるでゲーム画面のドット絵のように存在しているんだと思います。そして

「どう動けば効率的に、そしてより多数の客を殺せるか」

を徹底的にシミュレーションしたはず。少なからず不道徳な態度であり、だからこそ石持作品を読むのはやめられない。

会社員と兼業しながら、その頭の中では大量殺人計画が渦巻いている。石持が何度もテロリストを題材にするのは、むしろ健康な常識というものが確立しているからではないか……あー、それもないな(笑)。

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「ミレニアム4 蜘蛛の巣を払う女 (上・下)」 ダヴィド・ラーゲルクランツ著 早川書房 

2017-11-11 | ミステリ

あれれ?と思う。オリジナルの三部作と同じくらいに面白いの。木に竹を接ぐ、といった感じがまったくない。

あの三部作はそれぞれ本格謎解き、アクション、法廷ものと色彩が変わっていたので、読者はどのような作風であっても覚悟ができていたとしても、だ。

来年はハリウッドで映画化とか。デビッド・フィンチャー版の続編という扱いらしい。うーわくわくする。

ということで「ミレニアム5」につづく

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