事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

日本の警察~その46「外事警察」 麻生幾著 NHK出版

2012-04-23 | 日本の警察

514k598pkl_sx230_ その45「警視庁FC」はこちら

「この国の安全を誰が守れる?自衛隊?出動さえできない。外務省?実行部隊を持たない奴らが泣きつく先は我々だ。内閣情報調査室や公安調査庁などは問題外。内閣危機管理室はしょせんマニュアル屋。じゃあどこだ?警察(われわれ)こそがこの国を守るのだ」

警視庁警備局長の発言の是非はともかく、ソトゴト、と呼ばれる外事警察の内情を、例によって麻生幾は徹底的に(たくさんのディープスロートがいるんでしょうね)描く。

NHKでドラマ化されたのは一度も見ていないので(さすがに地デジに早く対応しないと)、あふれるほどの隠語はどう処理されたかわからない。

オモテ……情報班

ヤマ……関東山中にある諜報施設

マルエー……特別情報提供者

警乗……電車内検索

旅舎検……宿泊施設調査

チヨダ……協力者獲得工作本部

など、「新宿鮫」のときのように字幕で全部説明したんだろうか。

地方公務員として興味深かったのは、外事警察がハイジャックを担当するという強引な展開を納得させるために

「管制塔四階に準備されていた千葉県警の前進指揮所に入った住本は、急遽、警察庁職員兼務となり、千葉県警への派遣という人事措置が緊急決定された。」

そりゃま、東京都警察本部である警視庁の職員が成田空港で活動するためには必要な措置だろう。絵空事に思わせないための工夫として周到。まあ、この部分にこだわるのって公務員ぐらいだろうけれど(笑)。

テロリストがなぜ(外交的な影響力などほとんどないにもかかわらず)日本にこだわるかが、活動のインフラづくりが目的、という着想は面白い。でも、マジなテロを始めちゃったあたりからは普通のポリティカル・スリラーになってしまう。むしろ前半の、プロとしての尾行のノウハウが味わい深いですよ。

その47「鮫島の貌」につづく

外事警察 外事警察
価格:¥ 1,890(税込)
発売日:2009-09
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