この作品は絶対に3Dで観るぞ、と決めていた。現時点で最高の3D映像であるとみんなが認めているみたいだし。
ところが三川イオンシネマは、1サイトしか3D上映する施設がないからなのか、そっちはスターウォーズに明け渡しているので上映は2Dだけ。こりゃ、山形か東根に行ったときに観るべきかな。でもしばらくそっちに行く用事ないしなー。
2Dでも何でも見逃さなくてよかった。とても、とてもとても幸せな気持ちになれる作品だったので。文句なく傑作。
思えばマーティン・スコセッシの近ごろの作品は、特にレオナルド・ディカプリオと組んだ作品はいまひとつ。そんな彼が、3Dに挑むってのがよくわからなかった。「タクシードライバー」の切れ味や「ラストワルツ」の叙情はどこへ……
そんな不安があったのに、1930年代のパリを、これでもかと微細に描いたオープニングからして気合いが入っている。こりゃ、ものが違うかも。
モデルになった人物が、パリの駅で不遇をかこっていたのは事実らしい。演ずるベン・キングズレーと、彼の妻を演じたヘレン・マックロリーが渋い。
彼らの継子は「キック・アス」のヒットウーマンだったクロエ・グレース・モレッツ。どんどん背が伸びていて、主人公のヒューゴよりも少しだけ背が高いことがストーリーに活かされています。まさかディケンズ好きの文学少女として登場とはね。そして、少年ヒューゴを演じたエイサ・バターフィールドが怖いぐらいの純粋さを。
「世界がひとつの大きな機械なら、よけいな部品はひとつもないはず」
説教くさくなる寸前で泣けるセリフになるのは(脚本のジョン・ローガンは要注目)、登場人物たちの誰もに「自分は世界に必要とされていない」という諦念があるから。損なわれている機械をフィックスせずにはおれないヒューゴの宣言としてすばらしい。
スコセッシ演出は絶好調。2Dだったのは残念だけど、画面ではほとんど常に、
・なにかが回転しているか
・なにかが蒸気を発しているか
・サシャ・バロン・コーエンが変な演技をしています(笑)
「ハッピーエンドは映画にしか存在しない」
という某キャラの発言が真実だとしても、そんなハッピーエンドを心に刻むメディアとして映画は20世紀に確立されたのだ。映画ファンでよかったー。