映画版があまりにすばらしかったので、これは評判のドラマの方もコンプリートしなければ、とTSUTAYAで借りる。準新作100円だったし。
子どもみたいな感想だけれど、こっちもすばらしかった。原作久保ミツロウは実は女性なので、なぜ童貞のままフジモト(森山未來)は一歩踏み出せないかの心理をこと細かに描いている。ほんとに男だとああはいかない。小林じんこの「風呂上がりの夜空に」にタッチはよく似ている。
脚本と演出(いまのテレビ界で両方やる人はかなりめずらしい)の大根仁は、そのストーリーを、ある部分は軽く、ある部分はもっと切なく描くことにセイコーしている。ベタですみません。特に、フジモトの実家と東京の距離感が泣かせる。
にしても、この結末からよくあの映画版にもっていったなーと感服。野波麻帆、満島ひかり、松本莉緒、菊地凛子との恋愛ゲームに感情移入した観客を、長澤まさみ、麻生久美子、仲里依紗、真木よう子にシフトして納得させるのは並大抵のことではなかったはず。
映画版のTOKYO No.1 SOUL SETや、本人出演のPerfume、スチャダラパーもよかったが、テレビ版においては、第6話で満島ひかりが神聖かまってちゃんの「ロックンロールは鳴り止まないっ」をカラオケで絶唱する場面に涙。
そう、映画では麻生久美子がひとりB’zをがなるあたりで泣かせた路線はここから来ていたわけだ。強引につなげれば
菊地凛子 → 仲里依紗+真木よう子
満島ひかり → 麻生久美子
松本莉緒 → 長澤まさみ
野波麻帆 → 長澤まさみ+麻生久美子
……ってくくりだろうか。ほんと強引っすね。友人役の新井浩文と、オム先生役の浜野謙太には役の神様がおりてきているとしか思えない。非常にけっこうなドラマでした。でもこれを(視聴率は驚くほど高かったわけでもない)映画化しようと企てた人間はほんとに慧眼だなあ。