事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

港座通信~男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け

2009-07-08 | 港座

Torasan171 好評のうちに幕を閉じた港座復活祭。たくさんの方々にお出でいただき、ほんとうにありがとうございました。ひきつづいてお送りする第二弾のタイムテーブルは表のとおりです。
はっきり言って今回は「男はつらいよ」がメイン。上映館はすべて大劇場です。

7月24日(金)

13:00 ローマの休日

16:00 男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け

19:00 男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け

7月25日(土)

13:00 ファインディング・ニモ

16:00 男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け

19:00 男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け

港座の復活では、邦画封切館でもあった関係から、寅さんをぜひとも上映したいと考えていました(来月で第一作封切りから40周年!)。しかし興行という世界はなかなか微妙で、多方面からの協力が必要。今回、なんとか条件をクリアして上映にこぎつけることができました。それでは作品ごとに解説を。

男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け」(‘76 松竹)

監督:山田洋次 出演:渥美清 倍賞千恵子 宇野重吉 太地喜和子 寺尾聰 岡田嘉子

Torasan172  全部で47作ある「男はつらいよ」シリーズの第17作目。初期の「男はつらいよ」においては、渥美清のアドリブのすごさに共演者が笑いをこらえるのに苦労したと言われています。特に1作目や2作目などは、倍賞千恵子の背中がふるえているのがわかるほど。

浅草でデビュー後、胸を病んで休業せざるをえなかった渥美清は、病院で同室の患者が死んでいくのを数多く見送り、自らも片肺になります。そんな過去が、共演者を喰ってまで笑いをとろうとした姿勢につながったのでしょう。しかし円熟期の「夕焼け小焼け」においては、芸達者な宇野重吉や太地喜和子との共演を楽しんでいるかのようです。そんな余裕が、シリーズ最高傑作に推す人が多い結果につながりました。

特に、おきゃんで明るい芸者を演じた太地喜和子がすばらしい演技を見せています。「男はつらいよ」におけるマドンナは、浅丘ルリ子のリリーがまず思い浮かびます。「寅次郎忘れな草」「寅次郎相合い傘」などで、“寅次郎を本気にさせたただひとりの女性”ですし。しかし今回の太地喜和子は、そのリリーに匹敵します。

「男はつらいよ」においては、寅次郎が旅に出る→妹のさくらがそれを見送る、というパターンが多いため、ラストには常に哀愁が。ところが、この作品にかぎっては底抜けに明るいハッピーエンドになっています。これは太地喜和子のおかげでしょう。彼女の事故死がなかったら日本の芸能界は……と思わずにはいられません。数多い「男はつらいよ」のマドンナのなかで、すでに亡くなっているのは彼女と新珠三千代だけです。

次回は「ファインディング・ニモ」特集。

※「男はつらいよ」の上映については、やはり松竹は寅さんをトラの子(シャレじゃなくて)だと大事にしているのだろう。商業上映にはかなり神経質になっているのだった。

※そのために山形フォーラムに協力してもらえることになったのはうれしい。理想形はやっぱりフォーラムだもの。いい映画を上映し、それをいい観客が支えているもんなあ。山形に行くたびにうらやましく思っていたのだった。

港座公式ブログはこちら↓

http://minatoza.exblog.jp/

コメント
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